爬虫類・両生類/両生類・爬虫類の飼い方

爬虫類・両生類の床材とは……あなたは何を敷く?

爬虫類・両生類の飼育で意外に軽視されがちな飼育アイテム「床材」。はいずりモノである両爬にとって床材は最高の居心地を提供するものでありたいですね。どんなことに注意すればいいのでしょうか⁉︎ いろいろ考えてみましょう。

執筆者:星野 一三雄

爬虫類・両生類の床材

爬虫類・両生類の床材

爬虫類・両生類の床材

ケージ内の「アクセサリー(?)」をいろいろ考えてみましょう。
ケージも準備した。保温もおっけー。照明も理解して完璧に設置できそうです。さて、次は?目の前の空のケージを見てみましょう。何の色気も自然な感じもない殺風景な「床」が見えますよね。そうです。ケージの床に敷物をしましょう。でも、何を敷きましょう?今回は、意外に軽く見られがちな「床材」にCloseUpです。
 
<目次>
 

床材を敷くということ

なぜ床材を敷くのでしょう?もちろん見栄えの問題もありますが、多くの両爬たちはいわゆる「はいずりモノ」です。つまり、彼らは常に大地と接して生きているわけです。ですから、飼育下においても、何らかの敷物はあった方がより、彼らの真の姿に近づけそうです。

また、床材には大きな役割があります。それは「爪がかり」になるということです。何の床材もないガラス水槽のガラスの床の上にカナヘビを置いてみましょう。彼らはひどく歩きづらそうにジタバタしてしまうはずです。彼らはしっかりと大地に爪を立てて動き回っているのです。手足のないヘビだって、こう言った運動の支点になるような床でないと動きにくくなります。

また、爪を立てて動くことによって「爪が伸びすぎるのを防いでいる」ことも大切なポイントです。爪が伸びすぎると、折れて重大なケガにつながる恐れもありますから。
さらに床材は「保湿」に利用もできますし、もちろん穴を掘ったりして「シェルター」として利用されたり、糞などの排泄物を吸着して掃除の助けになったり、とまさに両爬飼育では無視できない存在なのであります!
 

床材いろいろ

さて、床材と一言で言ってもいろいろなものが飼育には使われています。
その素材に注目すると、以下の三種類に大別されます。

土砂系
植物系
人工物系

「土砂系」は「」「」「砂利」などです。最近は雰囲気を重視した専用のモノも売られています。「砂漠の砂」などは乾燥系のヤモリやトカゲの生息地をイメージできる床材です。また、土砂系の床材はほどよい湿度を保つことによって、彼らが穴を掘ったりできるのも魅力です。園芸用の「赤玉土」は色によって湿度を知ることができるので、両生有尾類の飼育にはもってこいです。

植物系」は植物を原料とした床材です。「ピートモス」は園芸用ですが保湿性に優れています。「ヤシガラ土(パームピート)」は園芸用として圧縮されて売っていて、水で戻すと膨張するので使いやすいです。「ミズゴケ」も園芸の世界ではおなじみですが、優れた保湿性で重宝します。「ウッドシェイブ」はいわゆる「おがくず」ですが、小動物用や爬虫類専用のモノが多く売っています。ヘビ飼育に好まれて使っています。最近ではハムスターなどの小動物飼育が盛んなので「干草」「コーンカブ(とうもろこしの芯を粉砕したもの)」など、さまざまなモノが流通しています。
いわゆる「アク」や「塩分」などをしっかりと抜いている商品を選ぶようにした方がよいでしょう。

人工物系」は天然素材ではない床材です。ヘビ飼育によく使われる「」はケージの床に敷いて、汚れたらそのままゴミ箱にポイできる便利で手軽な床材。「人工芝」は見た目もきれいで定期的に洗ったり、干したりすれば何回も使えます。爪がかりもよく餌と間違えて食べてしまうような種類でなければ、とても便利です。
 

床材選びの注意点

さて、床材を選ぶ時にはどのようなことに注意すればよいのでしょうか?
何よりも注意しなくてはいけないのは「誤食」です。つまり食べてしまうことでしょう。餌として勘違いしたり、あるいは餌を食うときに一緒に食べてしまったり、と結構この手の事故は起きやすいのです。ですから、床材は「食べられないくらい大きい」ものにするか、「食べてもすぐに排泄できる小さい」ものにする必要があります。ただ、私たち人間から見れば「小さく」ても、体が小さい彼らにとってはとても「大きい」場合もあります。生き物の視点に立って考えてあげましょう。特にピートモスなどは中に「長い繊維」が混じっている場合がありますので注意が必要です。

床材が体に接触した時に「皮膚を傷つける」おそれも考慮しましょう。「砂」の類は見た目がサラサラでも、顕微鏡レベルではとても角張っていたりする場合があります。両生類などのように肌のキメがシビアな生き物には避けた方が無難です。また「黒土」は後述するように、とても私は好きな床材ですが、畑などからとって来るのはやめましょう。農薬や化学肥料、石灰など彼らにとって害になりやすいものが多く含まれている可能性があります。

また最近私も気になって注意しているのが、床材による「気管支障害」です。ピートモスなどの微細な繊維質が鼻などから気管支に入って引っかかってしまう、というものです。
また、新聞紙などの印刷物を床材に使うことも注意が必要でしょう。印刷物の「インク」は体に「良い」よりは「悪い」でしょうから。できれば印刷されている部分が少ない紙を使うのが安全であると考えられます。
 

おすすめ床材

とは言ったものの、何より私は国産種メインですから一般的ではないのですが...
何にしても私のオススメは「黒土」+「赤玉土」+「ピートモス」+「ミズゴケ」ブレンドです。黒土の硬さをピートモスでバランスをとって、赤玉土で湿度の監視を、さらにミズゴケを最下部に敷くことによって床材の湿度を下の方から維持していくわけです。だって、自然の地面って、下の方は多湿で、表面に近いほど乾燥していますよね?つまり、なるべく自然に近づけようと言う苦肉の策なわけです。
ただし、夏になると「ダニ」が湧きやすくなるのでこまめなメンテナンスが必要ですが...

意外にアバウトになりやすい床材管理であり、本当にメンテナンスが面倒ですが、何より彼らの体に直接触れるもの。彼らの視点で見て、健康管理に支障がないようにしっかりと管理してあげましょう。

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