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ソニーブラビアにF1、V1、J1、M1が新登場!

ソニーの液晶テレビ「ブラビア」にF1、V1、J1、M1の各シリーズが加わり、3月25日より順次発売されます。一部が変っただけに見えますが、本格需要期を迎えた薄型テレビの変化を象徴的する出来事なのです。

大橋 伸太郎

執筆者:大橋 伸太郎

テレビガイド

「あこがれの商品」から「生活シーンのパートナー」へ。
薄型テレビの変化を象徴するソニーの新ブラビア

さる2月22日に東京新宿区の若松町の旧小笠原伯爵邸(東京都所有)で「ソニー ブラビアハイビジョンミュージアム’08」が開かれ、ソニーの液晶テレビ「ブラビア」に新たに加わったF1、V1、J1、M1の各シリーズが報道関係者に披露されました。

この記事では、ブラビアの新シリーズのプロフィールとその意味合いについてお話しましょう。

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F1シリーズの46V型KDL-46F1に壁寄せスタンドSU-FL71を組み合わせた提案例。ベゼルが細い(約27mm)だけでなくチューナー内蔵46V型で厚さ7.4cmという薄型設計をも実現している

昨年秋に「全てフルHD!BRAVIA第三章始まる」という記事をお届けしました。今回はフルモデルチェンジでなく新しいラインの追加です。以前、紹介したようにソニーの液晶テレビ「ブラビア」は、上からX、W、V、Jの4シリーズに分かれています。上位2ラインがハイエンドシリーズ、下位2ラインがベーシックでした。

今回の発表では、ハイエンド(X、W)には手は付けず、F1とV1シリーズを新しく大画面の中間的なラインとしてデビューさせ、ベーシックラインは新しいJ1とM1シリーズで構成されます。ハイエンドシリーズはそのまま、一部が変ったに止まるということは、「3.5章」なのでしょうか。

いいえ、今回の発表はソニー一社に止まらず、薄型テレビ産業の構造変化を象徴的するような重大な出来事なのです。

薄型テレビは「あこがれの商品」から「パーソナルな商品」へ

北京5輪を控えた今年は、薄型テレビが初めて年間需要1000万台を越えると見られています。1000万台ということは、国民12人に一人があるいは3~4世帯に一軒が薄型テレビを購入するということです。これだけの市場は、多種多様なニーズが複合しなければ生まれません。

つまり、薄型テレビは「あこがれの商品」でなくなり、買い替え需要や、2台目3台目のパーソナルテレビといった新しい需要の比率が高まるということです。

そうした需要をキャッチするには、ラインアップの水平/垂直展開と各種の提案性が欠かせません。そして、それに応えていくフレキシブルな製品開発力と肝心のパネルの確保が問われます。

今回の発表会と前後してソニーは今後、シャープから液晶パネルを調達することを発表しました。ソニーはサムスンと世界一の座を競い合う液晶テレビのセット(完成品)最大手です。「一千万台」の国内市場に止まらず、アジア、北米、欧州でライバルに渡りあっていく上で、サムソンとの合弁事業として設立したS-LCD社の「自前の」液晶パネルだけでは生産が追いつかず、今回の決定を下したのです。

パナソニックと並び、基礎研究から、部品、デバイスの開発、その応用と組み合わせで多品種の製品を手掛ける「垂直統合」型メーカーの代表がソニーでしたが、液晶テレビという現代産業のダイナミズムがもっとも現れる分野に関しては、いったんは確立した「自前主義」を脱して、現実的な対応に踏みきったわけです。こうした流れはソニーに限った話ではなく、液晶テレビ全体の流れです。

国内でパネルの完全自社生産は、IPSαテクノロジーを子会社化したパナソニックとシャープの2社のみで、東芝はシャープから、日立はパナソニックからパネルを調達、ビクターは以前からサイズによってパネルを使い分けています。ソニーのような「持てる会社」が自前主義を脱したことに、大きな変化を認めざるを得ません。

私たちエンドユーザーにとっては、テレビは毎日生活の中で使うものですから、どこのパネルを使っていようが、映像が美しく信頼性があり10年間故障せず、気長に楽しく使えるのがよい製品なのです。

次のページでは、新しいデザインをまとったF1シリーズを中心に紹介します。
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