4Kが当たり前の時代だからこそ気になる、“安さ”の理由

直近の統計で、テレビ販売台数において4Kが占める割合が3割を超えました。それに伴い価格もどんどん下がり、高嶺の華だった4K大画面がいまやテレビの中心になりつつあります。しかし、なかには「4Kテレビなのに安すぎるけど大丈夫?」と、少し不安になる価格設定のものもチラホラ。

そこで今回は、安い4Kテレビと高い(ハイエンド)4Kテレビでは、具体的になにが違うのか? メーカー技術者への取材などを通じてわかったことをご紹介しましょう。
身近になった4Kテレビ。しかし、安過ぎるのもちょっと不安……という人も多いのでは?

身近になった4Kテレビ。しかし、安過ぎるのもちょっと不安……という人も多いのでは?


 

テレビを構成する4要素とは?

まず、テレビは何から成り立っているのかをご説明しましょう。液晶方式の場合、大雑把にいって液晶パネル、バックライト、電子回路、オーディオの4要素です。それぞれの現況について、詳しく解説します。

■液晶パネルは外部パネルメーカーからの調達が主流
まず液晶パネル。国内テレビメーカー各社もかつては垂直統合(パネルを自社生産しセットに組み上げる)が盛んでしたが、現在は外部パネルメーカーから調達するのが主流。代表的なパネルメーカーに、LGディスプレイ、サムスンディスプレイ、BOE、イノラックス(ホンハイ)、AUO(友達光電)があります。かつては日本も大画面液晶パネルを生産していましたが、パナソニックディスプレイが撤退したいま、生産続行はシャープ一社となりました。

■テレビの画質を大きく左右するバックライト
バックライトは液晶パネルと一体生産される場合と、セットメーカーがアッセンブル(組み立て)する場合があります。高画質機は後者で、直下型を使用する場合が多いです。後述しますが、このバックライトが液晶テレビの画質を大きく左右します。

■電子回路(映像エンジン)で各社なりの画質が決まる
電子回路の中核を担うのが映像エンジン。調達した液晶パネルを自社のテレビの画質に化けさせる役割です。各社各様のネーミングで競い合っています。ちなみに、東芝のレグザエンジンは競合他社のテレビにも使われていたことをご存知でしたか?
 
■オーディオは高価なテレビほどコストを掛ける傾向に
薄型テレビになって悪くなったといわれるのがテレビの音質。コストをかけられるフラグシップほど、オーディオにコストをかけて音質を良くする工夫がみられます。

 

価格差をもっとも左右するのはバックライトの形式

上記4要素のなかで、最も原価率が高いデバイスが液晶パネル。しかし、テレビ用大画面パネルの場合、きめ細かくグレードが分かれているわけでなく、サイズと画面解像度(4K,2KFHD,1044×1080等々)で価格はおおむね決まります。

なかでもバックライトは、グレード差が大きく、最もセットの価格差を左右します。液晶ハイエンドの場合、直下型ローカルディミング(部分制御)が主流で、エリア分割数もさまざまです。高級機の場合、エッジ型に部分制御を組み合わせたりします。中級機のエッジ型ではLEDが下側一列になります。話題のHDR10(HDR~ハイダイナミックレンジの指標)では1000nitsの明るい映像が求められ、使用するLEDの個数もいきおい増えていきます。
 
一方で、画質を決めるのが映像エンジン。一社のラインナップを見ると、似たようなネーミングの末尾にフラグシップには“PRO”が付いたりして、一見「松竹梅」があります。しかし、実際は使用するデバイス(LSI)と基本ソフトウェア自体は同じで、持てる能力の何パーセントまでを使うか? という違いに過ぎません。

それ以外にも、Netflixへの対応や録画機能といった付加価値もデバイスとソフトをどこまで使うか? という設定次第なのです。
バージョン差はソフトウェアの使用範囲

映像エンジンは画質の決め手だが…

以上、4Kテレビを構成する主要な4要素(液晶パネル、バックライト、電子回路、オーディオ)をご紹介しました。さて、この中で安い4Kテレビと高い4Kテレビの決定的な差を生む要素はどれでしょうか? すでに述べた通り、画面サイズが同じなら、その違いはズバリ「バックライトの差」です。

それではバックライトの品位が映像にどう反映されるかの見極め方を紹介します。


質の高いバックライトを使った4Kテレビを見分ける方法

フラグシップに搭載の直下型ローカルディミングは、液晶パネルの裏側にLEDを多数配置し、映像に応じてソフトウェアで部分部分を明るくしたり暗くしたりします。一方、エッジ型面駆動は一枚の映像フレーム全体を明るくしたり暗くしたりします。細かい明暗は液晶パネルの画素の開閉任せ、というわけです。

両社の中間のエッジ型分割駆動方式も中高級機の一部にみられます。しかし、エッジ型だから画質が悪いわけでなく、ソフトウェアによる制御が優れていれば、直下型に迫る映像が生まれます。
4K高級機は直下型バックライトを搭載

東芝レグザの直下型バックライト

バックライトの質を確認したいときは、映像が全黒になるシーンを再生してみてください。現在のエッジ型はLEDを画面下一列に並べる場合が多く、本来黒く沈む画面下が光漏れで明るくなったり、バックライト光が折り返す画面上も明るくなったりすることがあります。スコープサイズ映画の場合、一本の映画でずっと黒帯の個所がぼんやり明るくなっていたら興ざめです。これが第一のポイント。

次に全白のシーンを見てください。画面の左右や上下で明るさのムラや色付きがみられないか確認してください。これをユニフォーミティ(均一性)といいます。これがバックライトの性能を見る第二のポイント。

最後に、ナイトシーンを再生して黒からグレーに推移するグラデーションが滑らかで自然かどうか確認してください。これを階調再現力と呼ばれ、ソフトウェアがパネルをどれだけ使いこなしているかが分かります。

価格がほどほどであっても、バックライトとソフトウェアの性能が確かであれば、画面解像度と並ぶテレビの画質の重要要件のコントラストが満たされ、4Kテレビとして問題ありません。なお色表現は、色域についてBT.709以上でDCI90%カバーとか4Kテレビの一定の規格を満たしていればそれほどの差がありません。


HDR(ハイダイナミックレンジ)への対応も価格差のポイント

あとは、現在、テレビのトピックのHDR(ハイダイナミックレンジ)への対応が出来ているかどうかです。HDRへの対応を謳う製品を買うことをお薦めいたします。今後さらに明るさが必要なドルビービジョンへの対応が求められますが、今回は問題にしないことにします。

綾瀬はるかさんが出演するパナソニックのビエラのテレビCFのテーマが「液晶ビエラ」から「有機ELビエラ」に変わったことにお気づきですか? 現在、各社テレビのフラグシップが液晶方式から有機ELに代替しつつあります。液晶と有機ELの立ち位置の違いと棲み分けについては各社で微妙に温度差がありますが、これまでテレビの画質を牽引してきた直下型ローカルディミングの液晶が進歩を止め、高画質は有機ELに任せ、液晶方式の画質の進歩が停滞する恐れがあります。

それだけに、いま4K液晶テレビを買うなら、くれぐれも画質を見極めて「手抜きのない」製品を選ぶようにしましょう。


ガイド推薦、10万円台だけど「大丈夫」な4Kテレビはこれ

専門誌のレビューは高画質を競う各社のフラグシップばかりでボリュームゾーンの製品があまり紹介されません。最後にガイドが実際に実機の映像を確認して「大丈夫」とお薦めできる製品を挙げておきます。いずれも十万円台で買える4K HDRテレビです。




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