HDR=High Dynamic Range/ハイダイナミックレンジ

テレビは白黒からカラーへ、アナログからデジタルへ、フルHDから4Kへと進化してきました。そして今、注目したいのが「HDR」(High Dynamic Range/ハイダイナミックレンジ)です。

この記事では、「HDR」の基礎知識を解説し、さらに、おすすめのテレビ製品を厳選してご紹介します。

テレビの「HDR」とは?

デジカメ写真では既に「HDR」機能を活用されている方も多いでしょう。これは、日陰のように暗くて黒潰れする部分と、空のように明るく白飛びする部分をそれぞれ適正な露出で撮影し、一枚の写真に合成する技術です。結果、人間が見た印象に近い映像を残せるのがメリットです。

一方、テレビの「HDR」は似て非なるもの。

普段肉眼で見る光景は、明暗差に富んでいます。例えば太陽、炎、照明など、自ら発光する光源と、それらに照らされる物体は、誰もが違いを感じることでしょう。また、照らされる物体も様々で、特に光沢のある金属やガラスの質感は、「光」が鍵と言えます。

ところが、現在の薄型テレビは、自然界の存在する“輝度差”をそのまま表現することが出来ず、例えば、非常に明るい太陽も、建物の白い壁も同じ明るさで映し出されているのが実情です。これが“リアリティー”を損なっている一因なのです。

そこで明暗差を拡大し、“リアリティー”を追求するのが、テレビの「HDR」機能という訳です。

液晶テレビは、バックライトとして高輝度なLEDが採用できるようになったことで、HDR高画質を発揮できるようになりました。また近年では、画素の一つ一つが独立して発光する有機ELパネルを採用したテレビが続々登場。有機ELテレビなら、暗部の再現能力や真のコントラスト性能が高いので、HDR映像のダイナミックな明暗差をより効果的に楽しむことができます。

■HDR効果例 その1: 明るい映像の場合

従来のテレビが〈写真左〉とすると、右がHDR効果のイメージ。

空や雲に太陽の眩しさ、波頭にキラキラとした輝きが加わり、テレビを見ているというよりも、その場にいるような感覚に。

HDR効果のイメージ。

HDR効果のイメージ。眩しさや輝きが表現可能に。


■HDR効果例 その2: 夜景のような映像の場合
従来のテレビが写真左とすると、右がHDR効果のイメージ。

暗闇に浮かぶライトの煌めきが表現され、夜景を肉眼で見た際に感じる"美しさ"に近づくことができます。「コントラスト」は心を揺さぶり、感動に繋がる重要な要素なのです。特に夜景のように全体が暗い映像の場合、液晶よりも有機ELが有利です。
HDR効果のイメージ。

HDR効果のイメージ。ライトの煌めきが感じられる。


真正HDRと復元型HDR

HDRの真価を100%引き出すには、コンテンツもテレビも「HDR」規格に対応している必要があります。ここでは真正HDRと呼ぶことにしましょう。

動画配信では「Netflix」などが4K解像度のHDR制作コンテンツを供給していて、対応テレビでHDR視聴が可能です。またディスクも、ブルーレイの4K解像度版と言える、ウルトラHDブルーレイ(UHD Blu-ray)が登場し、HDRにも対応。メジャー映画タイトルも多数リリースされています。

では、現在のテレビ放送やブルーレイのような非HDR映像は、HDR画質で楽しめないのでしょうか? 答えは”ノー”と言ってよいでしょう。

既存の映像コンテンツは、ダイナミックレンジを圧縮した状態で供給されています。よって、テレビ側である程度の復元は可能で、そうした機能を搭載た製品が主流です。

ただし、ダイナミックレンジの復元は、あくまでも“予測に基づく拡張”で、製品や画柄によっては不自然に見えてしまうケースもあります。ここでは復元型HDRと呼び、真正HDRと区別しておきたいと思います。

今後ですが、4K/8K放送は、番組の多くがHDR(HLG方式)で放送される見込みで、真正のHDRが広く普及しそうです。


「HDR対応」テレビの選び方

「HDR」は、テレビの画質を大幅に向上させる仕組みとして、歴史的な出来事と言っても良いでしょう。しかし、「HDR対応」テレビだからと言って、全てが高画質とは限りません。最終的には、それぞれの製品の実力によります。

では、どのような性能や機能に注目すべきでしょうか?要素別に見て行きましょう。

■液晶か有機ELか?
HDR対応の薄型テレビは、画面の表示方式により、「液晶」と「有機EL」(OLED)の2種類があります。

日中、直射日光が差し込むような明るいリビングでは、映像が明るい「液晶」が適しています。逆に、ホームシアターのような暗室、日没後のリビング、日中でも遮光が可能な場合は、より高画質が得られる「有機EL」をお勧めします。

■HDR入力対応
HDR規格の映像をHDMIで伝送するには、機器が「HDMI 2.0a」以降に対応している必要があります。
もちろん、テレビには、HDR信号を処理する機能が必要です。HDRには、HDR10、Dolby Vision、HLGなどの方式があり、できれば全ての方式に対応している製品が安心です。

■高輝度・高コントラスト
HDRの真価を体感するには、「HDMI 2.0a」やHDR信号の処理などの機能に加え、表示性能自体が「ハイダイナミックレンジ」であることが重要です。

スペックとしては「高輝度」や「高コントラスト」がキーワードとなるでしょう。


おすすめのHDR対応製品6品

HDRの高画質が体感できる、お薦めの新製品をご紹介しましょう。

■LG OLED55C7P

LGはグループ会社で有機ELパネルを生産し、有機ELテレビの本家と言える存在です。本機は、高画質な有機ELテレビでありながら、価格は液晶テレビに近くリーズナブルなのが最大の特長。お買い得感が非常に高い好製品です。

 
■Panasonic VIERA TH-55EZ950
有機ELタイプ。独自の映像技術による暗部の豊かな階調表現と正確な色再現が持ち味。価格も落ち着き、お買い得感が非常に高まっています。

 
■Panasonic VIERA TH-49EX850

49型で価格もより手頃な液晶タイプ。IPS液晶パネルを採用し、液晶テレビとしては、斜めから見ても色やコントラストの変化が少ないのが特長。明るいリビングで、テレビをファミリーで取り囲むような視聴スタイルにお勧めです。


■SONY BRAVIA
有機ELタイプ。ソニーが培ってきた映像ノウハウを継承し、基礎体力ナンバーワン。マニアの厳しい目にも耐える高画質を実現しています。65型も好評。

 

■東芝 REGZA 55X910
映像処理技術、高画質化技術で定評のある東芝の有機ELモデル。一般的な地上デジタル放送も、滑らかで美しい高画質で楽しめます。

 

■シャープ AQUOS LC-70X500
家庭用としては世界初の8K液晶テレビ。70型の超大画面も8Kなら高精細で楽しめ、さらにHDRによりリアリティーがアップします。

 

さいごに

HDRが登場した背景には、4Kや8Kといった高精細化によって臨場感を追求する大きな流れが根底にありますが、薄型テレビの表示性能アップも要因と言えます。特に高画質表示に適した有機ELテレビの普及で、HDR映像の良さもより明瞭に楽しめる時代になりました。

テレビは便利機能や低価格に注目が集まりがちですが、「HDR」が登場した今、高画質なプレミアムモデルにご注目を!!


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