総務省の発表は現在発売中の4Kテレビを否定するものではない

2016年6月30日、総務省は「現在市販されている4Kテレビ・4K対応テレビによるBS等4K・8K放送の視聴に関するお知らせ」を発表しました。

この発表を受け、多くのメディアが「発売中の4Kテレビでは4K放送が見られない」といった衝撃的なタイトルで報じたため、SNS上では「4Kテレビは詐欺だ!」など、過激な反応も多く見られました。

しかしながら、総務省が発表した内容の要旨は「現在市販されている4Kテレビ・4K対応テレビを利用して、衛星基幹放送による超高精細度テレビジョン放送を視聴するためには、平成30年の実用放送開始にあわせて発売予定の機器が別途必要になります」というもの。

この背景には、現在の4Kテレビ販売において、特に店頭で「2020年の東京五輪を4Kで」といったセールスプロモーションが過熱傾向にあり、それに対する「そのままではBS衛星による4K放送を通して五輪中継は観られませんよ」という注意喚起と考えられます。

発表自体は、現在の状況を的確に解説しているに過ぎず、現在発売中の4Kテレビを否定するものではないのです。

とは言え、混乱気味なのも事実。では、消費者はこの発表内容をどのように捉えれば良いのでしょうか?

今回は、4Kテレビを“いつ”、そして“どのような心構え”で購入すれば良いのか、解説します。


4K放送以外にもいろいろある4K映像

総務省が発表で指摘しているのは、現在発売中の4Kテレビには、2018年に4K画質で実用放送を予定している“BS”衛星放送のチューナーが内蔵されていないというものです。
4K・8K推進のためのロードマップ2015

総務省4K・8K推進のためのロードマップ2015

(添付図:4K・8Kロードマップに関するフォローアップ会合 第二次中間報告 参考資料 より抜粋し、2018年の対象部分に赤色注釈を追記)

確かにBS衛星による4K放送は、4K時代の基幹と言え、メディアの「発売中の4Kテレビでは4K放送が見られない」という論調も、あながち間違いではありません。

しかしながら、4K映像は124/128度CS放送(スカパー!4K)、IPTVによる4K放送(ひかりTV 4K)、その他にもインターネット経由で配信が始まっていて、発売中の4Kテレビでは、テレビ単体でこれらの映像を視聴できる製品も増えています

そういった意味では「発売中の4Kテレビでは4K放送が見られない」という表現は誤解を招く恐れがあり、適切では無いと考えます。


そもそもBSは“外付け”を想定していた

現在発売されている最新4Kテレビの殆どは、BS衛星放送の規格が確定して対応チューナーが発売されるのを見越し、問題が無く接続できるよう、4K映像や著作権保護技術に対応したHDMI入力端子を備えていています。今回の発表でも、その旨が明記されています。

このような状況を踏まえると、一般メディアが報じる「発売中の4Kテレビでは4K放送が見られない」という表現は、“煽動的な見出し”と言わざるを得ません。


実はBSアンテナも買い換えが必要!

テレビにBSの4K放送が受信可能なチューナーが内蔵されているか否かに注目が集まっていますが、実はBSアンテナも買い替えが必要です。

BS衛星による4K/8K実用放送(2018年予定)を、左旋円偏波(電波が左に回転)で行う計画を進めています(現在のBS放送は右旋)。つまり、現在パラボラアンテナを利用しているBS視聴者も、4K放送を観るには対応チューナーに加え、BS左旋円偏波が受信可能なアンテナが必要で、アンテナの追加、あるいは交換が必要になるのです。(他の受信方法が選択できない場合)

【BS左旋円偏波にも対応したパラボラアンテナの製品例】

そう、BS衛星による4K放送視聴は、チューナーだけの問題だけではないのです。

放送システムの変更は送出側も受信側も負担は少なくなく、一方でインターネット通信の高速化が進んでおり、8Kが本格化する時代にはインターネットが大きな役割を果たすかもしれません。


まとめ: 結局どう考えれば良い?

■4K映像をいち早く体験したいなら!
さきに述べた通り、すでに4K映像は124/128度CS放送(スカパー!4K)、IPTVによる4K放送(ひかりTV 4K)が始まっていて、それらを視聴可能なテレビも発売されていますので、「発売中の4Kテレビでは4K放送が見られない」という事はありません

その他、4Kテレビの多くは4Kネット動画の再生機能を搭載し、Netflix,、4Kアクトビラ、YouTubeなどが視聴可能です。

また、ブルーレイは4K画質のUltra HD Blu-ray(UHD BD)時代に突入していて、再生機器やソフトも続々登場中。UHD BDなら、受信設備や月額費用無しに高品位な4K画質が楽しめますので、放送とは違った魅力があります。

【UHD BD再生対応プレーヤーの製品例】

4K映像をいち早く体験したい先進的な方なら、今選ぶべきは、4Kテレビと言えます。BSの4K放送に興味が湧いたら、その時点で、最適な受信方法を検討し、それにあったチューナーやSTB(主にケーブル放送を受信する機器)を接続すれば良いのです。

BS衛星放送が受信可能な4Kチューナーが内蔵されていないからと言って、今4Kテレビを選ばないのは、合理的とは言えません。

■今、テレビを買う必然性のあるユーザーはどうすればいい?
テレビを新しく設置する、あるいは、テレビが壊れて今すぐ買い換えが必要という読者もいるでしょう。

4K画質に興味がなければ、フルHD(2K)製品を購入するもの一案です。理由は、BS衛星による4K放送が始まっても、現行の地上デジタル放送やBSデジタル放送が終わる訳ではなく、当面の間は継続されます。放送全体を考えれば、基幹放送は「地上デジタル」なのです。

ちなみに地上デジタルの4K/8K化も研究が進められていて、いずれは4K/8Kに置き換わると考えられますが、少なくとも10年以上先でしょう。今、地上デジタル放送やBSデジタル放送が受信可能なフルHD(2K)テレビを購入しても、寿命に達するまでそのまま利用できるはずです。

同様に、今4Kチューナーを内蔵していない4Kテレビを購入するもの一案。4Kテレビなら、2Kの地上デジタル放送、衛星放送、ブルーレイを、50型を超える大画面で見ても画素の粗が目立たず、画質面でもメリットがありますので、筆者としては、4Kテレビをおすすめします。

その理由は記事「4Kテレビはイマが買い時、と言える5つの理由」で詳しく解説していますので、併せてご参照ください。