癒しの旅/甲信越の美食旅

ようこそ新潟! 米処で味わう美味しいご飯-1(2ページ目)

『自遊人』編集部がただいま拠点としている新潟・魚沼にも、実は美食が満載。それも、東京に住んでいたらきっと知らなかったであろう、隠れた逸品ぞろいです。米処・新潟へようこそ!

執筆者:岩佐 十良

山から湧き出る清水で育てた、
ホントに旨い自家用米

 
欅苑周辺
屋敷の裏には3反の田んぼが広がる。後ろに見えるのが巻機山(まきはたやま)。
 新潟県南魚沼郡――駒ヶ岳、八海山、巻機山など1500~2000m級の山々に抱かれた日本有数の米処。麓の大地は、山から流れ出る豊かな雪解け水と肥沃な土壌に恵まれ、収穫される米は“魚沼産コシヒカリ”として、ほかの米とは一線を画している。

 そんな米処の中でも、特に水に恵まれた八海山麓に建っているのが『欅苑(けやきえん)』。築130年、元は庄屋という茅葺き屋根の大きな館。名前の由来でもある樹齢1500年のケヤキの大木が、母屋の横にずっしりと佇んでいる。

 黒々と艶のある梁や大黒柱に見入りつつ、じっと料理を待った。屋敷のすぐ裏には田んぼが広がり、その向こうには、まだ雪の残る巻機山や八海山が見える。

 近くの山で採れる山菜や、季節の野菜を使った料理は、もちろんすべて手作りだ。自然の恵みに丁寧に手を添える、といった印象の優しい料理の数々。そして、最後に出されるご飯は、裏の田んぼで収穫されるコシヒカリ。店頭に並ぶことのない、家族と、食事処に訪れる客のためだけに作られる米……。
 

「田んぼがあるからお米を作る、
 ここでは当たり前のこと。」

 
たむら屋
たむら屋
たむら屋
(写真上)『のっぺい汁』は新潟の郷土料理。各家庭の味が代々受け継がれている。『欅苑』では貝柱で出汁をとり、人参や里芋など約8種類の野菜で煮る。
(写真中央)『菜の花の寒天寄せ』。菜の花の下に沈んでいるのはウルイ。
(写真下)自家用コシヒカリは、おもに味付けご飯になる。春は筍、夏は枝豆、秋にはキノコや栗、ムカゴなど。何杯でも食べたくなる!
 「このあたりは清水が豊富に湧く地域なんです。飲み水は『雷電様の水』といって、八海山系の1つ、桂山の麓の岩肌から湧いています。田んぼに流れ込んでいるのも、やっぱり清水。本当に美味しい水だから、お米も、そして、ご飯も美味しいんでしょうね」

 そのコシヒカリ、春から夏にかけては筍ご飯として登場する。一粒一粒がツヤツヤで、ふっくら。それでいて、噛めば噛むほどに口の中でモチモチと粘り、ふんわりとした筍の風味が、ご飯の甘みをいっそう引き立たせる。

「田んぼがあるからお米を作る、ここでは当たり前のこと。お米が美味しいのは、この地域が魚沼の中でも豊かな自然に恵まれているから。つまり田舎ってことです(笑)」

 食物から元気をもらう。すっかり忘れていた感覚を、『欅苑』では取り戻すことができる。清々しい景色と空気、ツヤツヤのご飯に温かなおかず。これ以上のご馳走があるだろうか。

 次のページで『欅苑』の詳細データをご案内します。お越しの際にお役立てください。
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