タイカレーはカレーにあらず?!
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辛いことでおなじみ、タイのレッドカレー(ゲーン・ペッ)。ココナッツのマイルドさも |
最近、日本でも人気のタイカレー。タイカレーといえば、レッド・グリーン・イエローという信号のような3色のカレーがおなじみ。ハーブや唐辛子を使った辛いカレーです。
日本でタイカレーと呼ばれているのは、現地で「ゲーン」と呼ばれている汁物。赤唐辛子を使ったレッドカレーは「ゲーン・ペッ」と呼ばれ、「ペッ」は辛いの意。また緑色の唐辛子を使ったグリーンカレーは「ゲーン・キヤオ・ワーン」と呼ばれ、「キヤオ」は緑、「ワーン」は甘いを意味します。
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タイで売られているイエローカレーペースト。骨付きのチキンなどを煮込むということは、「ゲーン=カレー」? 答えはノーです。タイでは、イエローカレーはゲーン・カリーと呼ばれます。もし「ゲーン=カレー」なら、「カレー・カレー(カリー)」になってしまいますね。ここでいうカレーは、カルダモン・シナモン・クローブといったインドの香辛料を入れたカレーペーストを使ったカレーのこと。
つまり一般的にタイカレーと認識されているレッドカレーやグリーンカレーは、現地ではゲーンという汁物料理のひとつにすぎません。もちろんタイにもカレーという言葉はあって、それはイエローカレーに使われるようなカレーペーストを指しています。
そうなるとまた「カレーって何?」という疑問が浮かんでくるのですが、実はこれは専門家でも定義するのが難しい問題。国によってとらえ方がだいぶ違うからですね。でもゲーンもカレーと分類するなら、実はかなり多くのものがカレーの仲間に入れられると思うんですよ。例えばモロッコのタジン(香辛料で肉を煮込んだ料理)はクミンを使っているのでかなりカレーに近い風味ですし、韓国版の肉じゃがともいえる唐辛子で煮込んだタットリタンを韓国版カレーと位置づける人もいます。もちろんそれぞれの国の人はそれをカレーなんて思っていないんですけどね。カレーの世界は本当に奥が深いのです……。
次のページでは、知っておくとさらにカレーがおいしくなる?! カレーにまつわる小話をご紹介します。