インドにはカレーがない?!
デリーのチキンカレー。辛さのなかにスパイスの豊かな風味を感じる |
タンドリーチキンをトマトやバターで煮込んだ「バターチキン」。香辛料を使っているので、カレーのような味わい |
じゃあカレーって何?――ということになりますが、日本人(および欧米人)など呼ぶところのカレーは、スパイスで味付けた煮込み料理全般の総称です(この記事でも便宜上、それをカレーと呼ぶことにします)。インドのカレーの汁は日本のカレーのようにトロリとしたものではなく、サラリとしているものが多く、付け合わせは南部ではご飯、北部では小麦粉で作ったロティなどのパンが定番。具は野菜やチキン、豆など様々ですが、宗教上の理由からビーフカレーを目にする機会はほぼありません。
ところでカレーは辛いものというイメージが強いですが、気になる本場インドのカレーの辛さ……、実はそれほどでもありません。もちろんなかには辛いカレーもありますが、昨今の日本の「辛さxx倍」といった激辛カレーやスープカレーのほうがよほど辛いですよ。それもそのはず、インドに唐辛子が入ってきたのは16世紀ごろ。長いインドの歴史のなかではつい最近のことなのです。インドのカレーで際立っているのは、辛さよりもスパイスの香りです。
日本とは味も見た目もだいぶ違うインドのカレー。いったいどうしてこんなに違うのでしょうか? 実は日本のカレーはインドではなく、イギリスから伝わってきたものなのです。
次のページでは、日本のカレーの元になったイギリスのカレー事情をお届けします。