世界遺産/世界遺産豆知識

世界遺産を味わう1 王様のワイン トカイ(3ページ目)

訪ねたり調べたりばかりが世界遺産じゃない! 世界遺産関連の食べ物や飲み物を味わい、世界遺産の奥深さを全身で感じるシリーズ「世界遺産を味わう」。第1回はルイ14世が「王様のワイン」と称えたトカイ・ワイン。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

トカイ・ワインの製法と種類

貴腐化しつつあるブドウ
一部貴腐化しつつあるブドウ。トカイ特有の気候とボトリティス・シネレアという菌がこの現象を引き起こす。©ハンガリー政府観光局
先述したように、貴腐ワインは表面に付着した菌により貴腐化したブドウを使う。このブドウをひと粒ずつ状態を確かめ、手で摘んでプットニュと呼ばれる桶に入れて収穫するのだが、そのまま放っておくとブドウ自身の重みで液体が絞られてくる。この液だけを発酵させると「エッセンシア」になる。

桶に残ったブドウを機械で圧搾し、貴腐ブドウだけで発酵させると「アスー・エッセンシア」になる。一方、通常のトカイ・ワインは先ほどの貴腐ブドウの桶=プットニュに一定量の普通のブドウ(白ワイン)を加えるのだが、入れた貴腐ブドウの量で3~6までの「プットニョシュ」という単位で表現される。

現在プットニョシュは糖度によって区分けされており、たとえば3プットニョシュだと136Lの樽で糖分が60~90g、6プットニョシュだと150~180g、エッセンシアにいたっては500gを超えるものもある。

3プットニョシュのトカイ・ワインはやはり白ワインに近く、エッセンシアと比べてしまうとまるで別物だが、それはそれでスッキリと楽しめて、値段も\2,000前後からとお値打ちだ。

さてこのトカイ・ワイン。17世紀にオスマン・トルコの侵略を受けて収穫が遅れ偶然発見されたという伝説も残っているが、確証はなく、12世紀頃から作られていたという人もいる。とにもかくにも伝統あるワイン作りと、ワイン畑の美しい文化的景観に対してユネスコはその普遍的価値を認め、2002年、トカイ山の山裾に広がる地域が世界遺産に登録された。

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます