皇帝の神龍が守るあまりに美しい彩池 黄龍

五彩池

信じがたい形と色彩が展開する黄龍風景区の五彩池。観光客に立ち入りが許可されているのは写真のような遊歩道のみ

川々のあちらこちらに見られる美しい黄金の石灰棚は龍の鱗(うろこ)。大地を穿つ滝の落下音は龍の咆哮。龍が眠りより覚め、天に昇るその身体を流れるように、川が鱗を滑り、水しぶきを上げて森を震わせる。

そのあまりに美しく不可思議な景色にチベットの人々が神を見た岷山(みんざん)山脈の秘境、黄龍(ファンロン:こうりゅう)。今回は中国の世界遺産「黄龍の景観と歴史地域」を紹介する。

4,000年の歴史を誇る黄龍の伝説

黄龍寺後寺

前・中・後の3つの寺からなる黄龍寺の後寺

陰陽五行で東西南北に当てられている色は、東=青、西=白、南=赤、北=黒。そして中央より黄が出でて東西南北を統べるという。それゆえ黄色はその昔、中国では平民に使用を禁じた禁色(きんじき)となった。

蓮台飛瀑

斜面に黄色い石灰層が堆積した蓮台飛瀑。たしかに龍の鱗のようにも見える

そして天の東西南北には4龍がおり、中央を守っているのが黄龍だと伝わっている。標高5,588mを誇る岷山山脈の雪宝山の渓谷では、黄金で全身をまとった黄龍が天に昇るという。

まだ歴史がはじまる前、紀元前2,000年前後に栄えたという伝説の王朝、夏(か)。始祖である禹(う)は黄河の治水を成功させて世に認められた。

もともと黄龍の化身、あるいは黄河の化身であるともいわれる伝説の皇帝、禹。ついに夏王朝を立てた禹は、雪宝山の渓谷・黄龍を訪れて神を祀る霊廟を建てたという。その寺は時代時代に建て替えられたが現在も明の時代の黄龍寺が残っている。