世界遺産/世界遺産豆知識

世界遺産豆知識1 複合遺産とその全リスト(4ページ目)

2008年7月現在で世界遺産全878件のうち、文化遺産と自然遺産双方の価値を持つ「複合遺産」として登録されている物件は、わずかに25件しかない。今回は複合遺産の概要とその全リストを紹介しよう。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

北中南米の複合遺産

ティカル
ティカルのジャングルとピラミッド群。ティカルではいくつかのピラミッドに登り、ジャングルを眺めることができる。

■ティカル国立公園
グアテマラ、1979年、文化遺産(i)(iii)(iv)、自然遺産(ix)(x)
3,000~4,000もの遺跡からなる古代都市跡で、ジャングルを切り拓き、石灰岩を敷き詰めたプラット・フォームの上に住居や宮殿・ピラミッドを規則正しく配列し、5~10万人が暮らしていた。水は貯水池セノーテによって確保され、焼き畑によるトウモロコシ栽培で生活していたらしいが、900年前後に突如放棄された。ジャングルには貴重な動植物が数多く存在し、そのために自然遺産としても登録されている。
ジャングルとマヤのピラミッド群ティカル

マチュピチュ
世界で最も美しい遺跡のひとつ、マチュピチュ。©牧哲雄
■マチュピチュの歴史保護区
ペルー、1983年、文化遺産(i)(iii)、自然遺産(vii)(ix)
標高2,375mの山頂に築かれた謎の空中都市がマチュピチュだ。山の下からではまったく見えず、豊かな土地が広がっているわけでもない。なぜこんな場所に都市を築いたのか? 離宮とも避暑地とも言われるが、その確証は得られていない。山頂で水を確保して穀物栽培が可能だったのはアンデスの深い霧のおかげ。霧が水を山頂にまで運び、豊かな生態系を築き上げた。その特異な自然環境から、やはり自然遺産としても登録されている。
アンデスに咲く天空の都 マチュピチュ

■リオ・アビセオ国立公園
ペルー、1990年、1992年、文化遺産(iii)、自然遺産(vii)(ix)(x)
アマゾン川が流れる標高わずか300mのジャングルからいきなりアンデス山脈が切り立ち、リオ・アビセオ国立公園の最高峰はなんと4,200m。この標高差の中に、ジャングル、森林、草原、サボテン地帯、高山地帯と、多様な環境を有している。数々の固有種がここに暮しているほか、8,000年以前からの遺跡が多数発見されており、先住民の生活や動きを物語るものとして研究が進められている。一般には解放されておらず、特別の許可を得なければ入ることができない。

アフリカの複合遺産は次のページへ。
  • 前のページへ
  • 1
  • 3
  • 4
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます