北中南米の複合遺産
ティカルのジャングルとピラミッド群。ティカルではいくつかのピラミッドに登り、ジャングルを眺めることができる。 |
■ティカル国立公園
グアテマラ、1979年、文化遺産(i)(iii)(iv)、自然遺産(ix)(x)
3,000~4,000もの遺跡からなる古代都市跡で、ジャングルを切り拓き、石灰岩を敷き詰めたプラット・フォームの上に住居や宮殿・ピラミッドを規則正しく配列し、5~10万人が暮らしていた。水は貯水池セノーテによって確保され、焼き畑によるトウモロコシ栽培で生活していたらしいが、900年前後に突如放棄された。ジャングルには貴重な動植物が数多く存在し、そのために自然遺産としても登録されている。
・ジャングルとマヤのピラミッド群ティカル
世界で最も美しい遺跡のひとつ、マチュピチュ。©牧哲雄 |
ペルー、1983年、文化遺産(i)(iii)、自然遺産(vii)(ix)
標高2,375mの山頂に築かれた謎の空中都市がマチュピチュだ。山の下からではまったく見えず、豊かな土地が広がっているわけでもない。なぜこんな場所に都市を築いたのか? 離宮とも避暑地とも言われるが、その確証は得られていない。山頂で水を確保して穀物栽培が可能だったのはアンデスの深い霧のおかげ。霧が水を山頂にまで運び、豊かな生態系を築き上げた。その特異な自然環境から、やはり自然遺産としても登録されている。
・アンデスに咲く天空の都 マチュピチュ
■リオ・アビセオ国立公園
ペルー、1990年、1992年、文化遺産(iii)、自然遺産(vii)(ix)(x)
アマゾン川が流れる標高わずか300mのジャングルからいきなりアンデス山脈が切り立ち、リオ・アビセオ国立公園の最高峰はなんと4,200m。この標高差の中に、ジャングル、森林、草原、サボテン地帯、高山地帯と、多様な環境を有している。数々の固有種がここに暮しているほか、8,000年以前からの遺跡が多数発見されており、先住民の生活や動きを物語るものとして研究が進められている。一般には解放されておらず、特別の許可を得なければ入ることができない。
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