3.温暖化の被害を受ける陸上生物の世界遺産
海と陸がお互い影響しあうケープ植物区のケルプ林。 |
ケープ植物区保護地域群はアフリカの0.5%のほどの土地にアフリカの20%近くの植物種を抱えるホット・スポットだ。温暖化の影響でここ2万年見られなかったような気温と乾燥を経験しており、2050年までに最大65%のエリアが失われる可能性を指摘している。生態系が変わるのはもちろん、外来種の襲来や水不足、火事なども問題になっている。
火事が多いユーカリの森で名高いグレーター・ブルー・マウンテンズではその火事が異常に多発。ユーカリは火事を利用することで新しいユーカリを育てるが、火事の件数は年々増えており、ユーカリの再生が間に合わないほどになりつつあるという。
地表の10%近くを占め、多様な生物を育むだけでなく、地球の炭素循環に大きな役割りを果たしている湿地帯。イシュケル国立公園では気温上昇と海水面上昇が見られ、そのためか降水量が減り、湿地も減少している。ここはかつてダム建築が降水量の減少をもたらし、それが渡り鳥の減少につながったことが確認されている。同様の影響が懸念されている。
クイーンズランドの湿潤熱帯地域も同様で、あと3.5度の気温上昇で壊滅的な打撃を受けると見積もられており、この50~100年で多くの生物の絶滅が危惧されている。実際グアナカステ保全地域では幾種類かの蛙の絶滅が確認されている。
■温暖化の被害を受ける陸上生物の世界遺産5件
なお、後編では、温暖化の被害を受ける考古学遺跡の世界遺産4件&歴史都市・集落の世界遺産8件、総まとめ、ユネスコやIPCCへのリンクなどをお伝えする。
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