今回は、ユネスコの『気候変動と世界遺産のケース・スタディ』が示した「気候変動によって危機に瀕している世界遺産26件」の後編、温暖化の被害を受ける考古学遺跡の世界遺産4件、歴史都市・集落の世界遺産8件、そして総まとめをお伝えしよう。

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  • 温暖化の被害を受ける考古学遺跡の世界遺産4件……P.1

  • 温暖化の被害を受ける歴史都市・集落の世界遺産8件……P.2

  • なぜ温暖化はダメなのか?……P.3


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  • 4.温暖化の被害を受ける考古学遺跡の世界遺産

    チャンチャン
    泥とレンガで造られたチャンチャン遺跡は、雨の降らない礫砂漠でこそ成立した建築様式。©牧哲雄
    温暖化の被害を受けているのは何も自然遺産だけではない。気候変動が洪水や台風をもたらすのはもちろん、雨のない地域に雨をもたらして遺跡を溶かしたり、あるいは海水面の上昇が文化財を破壊したりと、現在も多くの文化遺産が影響を受けている。

    年間の降水量がわずか20~100mmだったペルーの海岸沿いは、エルニーニョ現象が起こった1997~1998年にかけて年3,000mmを記録。これによってチャンチャン遺跡地帯や古代遺跡チャビンは洪水の被害を受け、その壁は溶け出してしまった。雨だけでなく、地下水位の上昇や塩の進入によって被害は拡大し続けている。チャビンに至っては、ワスカラン国立公園の氷河の溶解による洪水の被害まで重なってしまった。

    アルタイのゴールデン・マウンテンの草原には、永久凍土の中にクルガンと呼ばれる石を組み上げて造った墳墓がある。しかし、ここ100年で1~2度の気温上昇により永久凍土が溶け出し、クルガンの腐敗・崩壊が進んでいる。

    カナダの暫定遺産であるイヴァヴィック/ヴァンタット/ハーシェル島は、ツンドラ、湿地、海から高山まで多様な自然を見せるが、海氷の減少が環境の変化をもたらし、洪水の発生や凍土の氷解、地滑りが自然の破壊や文化遺産の流出を招いている。

    ■温暖化の被害を受ける考古学遺跡の世界遺産4件
  • 古代遺跡チャビン(ペルー):1985年、文化遺産(iii)
  • チャンチャン遺跡地帯(ペルー):1986年、文化遺産(i)(iii)
  • アルタイのゴールデン・マウンテン(ロシア):1998年、自然遺産(x)
  • イヴァヴィック/ヴァンタット/ハーシェル島(カナダ):暫定遺産


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