2.温暖化の被害を受ける海洋生物の世界遺産

グレート・バリア・リーフ
グレート・バリア・リーフの海水温は2100年までに2~5度の上昇が予想されている。
海の温度変化による影響は我々の想像を超えて大きい。たとえば東太平洋の赤道上の海水温が上がるエルニーニョ現象が地球全体の気候に大きな影響を与えているのはよく知られている。それ以上に、赤道から北極・南極、深海から海水面の海水の循環が世界の気候維持に大きく貢献していると見られているが、海水温の上昇はこの循環を止め、地球の気候を一気に変えてしまう危険性さえ秘めているという。

また、氷河や海氷が溶け出したことで20世紀の間に海水面は10~20cm上昇。さらに1990~2100年にかけて9~88cmの上昇が見込まれており、これによって沿岸部の生態系が大きく変わろうとしている。

こうした危機に悲鳴を上げていち早く教えてくれるのが海の生物たちだ。グレート・バリア・リーフでは海水温の上昇と、二酸化炭素濃度上昇による海の酸化によって、多くのサンゴが白化している。ある年などは一地区の60%のサンゴが死滅したという。気候変動や開発、自然災害等により、世界のサンゴの58%以上が危機にあるという。

世界最大のマングローブ地帯であるインドとバングラデッシュのスンダルバンス(シュンドルボン)では、海水温の上昇がマングローブの生態系を破壊しつつあり、このまま45cm上昇した場合、75%のマングローブが失われると見積もられている。これは自然の喪失を意味するだけでなく、サイクロンの多発など、周囲の環境を劇的に変え、さらなる気候変動をもたらす可能性が高い。コモド島も同様で、サンゴやマングローブの消滅が報告されている。

■温暖化の被害を受ける海洋生物の世界遺産4件
  • グレート・バリア・リーフ(オーストラリア):1981年、自然遺産(vii)(viii)(ix)(x)
  • スンダルバンス国立公園(インド):1987年、自然遺産(ix)(x)
  • コモド国立公園(インドネシア):1991年、自然遺産(vii)(x)
  • シュンドルボン(バングラデッシュ):1997年、自然遺産(ix)(x)


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