間違うくらいなら黙る方がいい?

miano
返答に困ったときに!Bodin先生の
『携帯版フランス語会話とっさのひとこと辞典』
越智:ところで先ほどお話していただいた「日本人のグループ内でのharmonie探し」が、フランス語の授業をされているネイティヴの先生をイラつかせることも多々ありますよね。先生の心の中での舌打ちが聞こえてくるようなときもありますが……。

Bodin:日本では「Il vaut mieux se taire que se tromper.(間違うよりは黙っている方がいい) 」という考え方が主流です。本当に多くのapprenants(学習者)が、この原則にのっとってリアクションします。

なぜapprenantsが質問に答えずクラス全体を待たせるのか理解に苦しむネイティヴ教師のirritation(いらだち)はそこからくるものです。それは、フランスではimpoli(失礼な)ことですから。

越智:日本人の心情で言えば、「答えられない」というのは、自分の能力不足を他の人にさらしていることでもありますから自分でもものすごく悲痛な状況にあるんですよね。個人的には決して「黙る方がイイ」と考えているわけではないと思いますが、そんなときに待っている人のことを考える余裕は当然ながらない。

なんとか答えをひねりだしたとしても、先生の「Pourquoi ?」(なぜ?)攻撃がとんでくる。このPourquoi ?はフランス語をはじめたばかりの日本人学習者にとっては、とどめの一撃のようなもの。「Les mains en l'air !(手を上げろ!)」と同義語で、もう白旗あげるしかありません。(笑)

Pourquoi?をもっと好きになろう!

atp
先生とも仲良くなれば上達も速い!
画像提供:Académie Tokyo-Paris
Bodin:フランス人にとってPourquoi ?というのはあくまでもopinionを述べるmotiver(意欲をおこさせる)ための言葉であって相手を吟味するためのexamen(試験)の用語ではありません。むしろ、marque d'intérêt pour l'interlocuteur(対話相手への興味のあかし)なのです。いずれにせよその人の意見が聞くに値するものであり、会話を継続させる価値があると考えてのことなのです。

フランス人がidées(思考)のconfrontation(対決)を好むことも知っておかなければなりません。それは、各自のopinion personnelleを豊かにするsources de discussions(議論の源)であるのですから。

越智:.「Pourquoi ?はライフルではなく握手を求める手である」というこの単純な事実に気付くのに自分自身も結構時間がかかりました。こうした事実や「ただ黙っていることはimpoli」ということなどを日本人学習者がきちんと知っていれば、状況は変えられるはずです。そのためにもcommunicationにおけるフランス人のmentalité(メンタリティ)についてもう少し詳しく教えていただけますか?

意見の欠如が人生に影響するフランス

penseur
考えて、考えて、発信することが大事!
Bodin:最初にお話したように、フランス人が恐れるのはquestions(質問)ではなく、absence d'opinion(意見の喪失)あるいはbanalitésです。実際フランスでは、ある一つのsujet(テーマ)に関して全く意見をもたなかったり、思考を深めることなくavis général(一般的な意見)に甘んじることは社会的に受け入れられません。

esprit critique(批判精神)は幼年期から育まれます。sujetについて様々な視点からopinion personnelleをse forger(自分のために考え出す)ようしつけられるのです。たとえ他の人と意見が同じであろうと、自分の言葉でそれをexposer(表明する)ことが求められます。 フランスでは、ostentation(見せびらかすこと)なしに、知的に自分を売り込むことが重要なのです。

越智:では、timide(内気な)人はどうすればいいんでしょう?フランス人にだって当然timideな人はいますよね。

次ページでは、「フランスの親たちは子供の内気をどう克服させる?」をお届けします。