学習例2:TV5で学ぶGrand Corps Malade
『Midi 20』 |
アルバムのジャケット写真を見ていただければわかるのですが、事故によって脚に障害を持ったGrand Corps Maladeは、人生の段階を時計の針が示す時間にみたて、彼自身の体験を彷彿とさせる歌詞内容をもつ作品Midi 20(ミディ ヴァン/12時20分) で注目をあびました。
アルバムのタイトルにもなっているこの作品に関しては、TV5 Musiqueのページで、clips(ビデオクリップ)やparoles(歌詞)の閲覧、また、フランス語勉強用の資料をダウンロードすることができます。
PDF資料には、bide(ビドゥ/腹=ventre)のような話し言葉やrencard(ランカール/密会=rendez-vous)のようなargot(アルゴ/スラング)、さらにはlouche(ルシュ/いかがわしい)のverlan(ヴェルラン/逆さ言葉)であるchelou(シュル)など教科書ではお目にかからない用語の解説もありますので、内容理解にぜひお役立てください。
タイトル曲はじめ、若者の暴動事件で日本でも有名になった郊外の町を詠んだ作品Saint-Denis(サン ドニ)など、彼のつむぎだす世界には人生に対する愛や怒り、哀しみ、痛みが詩情豊かにあふれています。苦労してフランス語歌詞を読解してみれば、必ずやフランス語を勉強していてよかった!と痛感することでしょう。
バーからソルボンヌまで:Ateliers Slamの試み
129HのメンバーでGrand Corps MaladeのCDにも参加しているRoudaのファーストアルバム絶賛発売中! 画像提供・引用協力:129H |
Slamがécriture(エクリチュール/書く行為), oralité(オラリテ/口承性), expression scénique(エクスプレッション セニック/演劇的表現)といった言語運用能力を高めるためのとっておきの教材であることは、slameurs自身も意識するところ。
フランス人slameurs グループ129H(サン ヴァン ヌッフ アッシュ)を中心に、文化センターや教育機関などで言語教育の一環としてateliers d'écriture slam(アトリエ デクリチュール スラム)が開催されています。2004年には、Université Paris 1 Panthéon-Sorbonne(パリ第一大学)でSlamに関するconférence(コンフェランス/講演)も開かれました。
一例として129Hの主催するatelierの流れをご紹介すると、Je m'appelle(私の名前は~です), je suis(私は~です), j'ai (私は~を持っています)という基本表現を用いた簡単なjeux de présentation(紹介のゲーム)から始まり、thème(テ-ム/主題)の分析、structure(ストリュクチュール/構成)を決定した後、métaphores(メタフォール/隠喩), synonymes(シノニム/同義語)などを考察。
さらにはémotion(エモシオン/喜怒哀楽)表現などをプラスし内容を深めた後、orthographe(オルトグラフ/綴り), syntaxe(サンタックス/統辞法)の見なおしによってtexteを再構成。最終的にはmémorisation(メモリザシオン/記憶化), préstation(プレスタシオン/演技)にいたるというきっちりとしたプログラムが組まれています。
きっとあなたにもできる、自分のコトバで文学にチャレンジ!21世紀を代表するアートになる可能性を秘めているSlamの世界をぜひぜひご堪能ください。
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