まだまだレベル
円形闘技場で模範試合? |
まず最初に、訳出に必要な単語のリストアップから。puce=ノミ・背の低い人、savant=博識の・芸をしこまれた、exhibition=公開・エキシビション、cirque=サーカス・円形劇場、Il y a ~=~がある、dire à ~=~に言う、commence à ~=~しはじめる、gagner=稼ぐ、pouvoir=~できる、s'acheter=自分のために買う、chien=犬、On=人々・誰か・私たち
では、頭を完全初心者モードにチェンジして、早速チャレンジしてみます。
越智:さて、pucesって「ノミ」だけど、しゃべっているから違うだろうな。とりあえず、「背の低い人間」というのがあるから、まずは主語にそれを選んでおこう。enとか、quiとか習ったけどよくわからないので、テキトーにつないでこんな訳ができました。でも先生、意味わかんないんですけど。
訳文1:(1)ふたりの学識にあふれた背の低い男たちが円形闘技場で模範試合をしている。(2)ある日、それがひとつあって言う。(3)「人はそれほどお金を稼いでいない。(4)もうじき人は犬を買うことができる」
高野:(突っ込み)んんーっ。確かに意味がわかんないですね。初心者モードになりすぎ?(笑)
越智:やっぱ、いくらなんでも、ここまでヒドイ人はいないですかね(笑)。でも、わかりませんよ~。
意味の通らない訳文は、解釈の間違いを疑おう!
高野:では、ここで、まず翻訳で大切なことをひとつ。翻訳を依頼される場合、ほとんどの原文はきちんと訳せば意味が通るようになっています(すべての原文がそうだというわけではありません)。ですから、もし意味がわからない訳文ができたら、それは解釈がまちがっていると考えてください。誤訳は訳文が教えてくれるのです。
で、解釈のまちがいには語学的なまちがいと、作品に対する読解不足からくるまちがいがあります。上の訳のうち(1)は読解不足から解釈のまちがい。(2)は文法のまちがい。(3)と(4)は読解不足からくる解釈と表現の問題です。ということで、まずは語学的な部分をしっかり押さえるところから始めましょう。
「pucesって『ノミ』だけど、しゃべっているから違うだろうな」こういう考え方はいいですよ。普通、ノミはしゃべりませんから……。
越智:ハイ、先生。出なおしてきます。
次ページでは、「がんばってレベル」をお届けします。