もうすぐ夏休み。フランス人も待ちに待ったバカンスのシーズンです。夏といえば海、でも気になるのが日焼け。美白に明けくれる日本人女性のイメージとは対照的に、フランスの女性たちは小麦色のイメージ。彼女たちが「小麦色」にこだわる理由から、最近の日焼け事情まで一挙まとめてお勉強とまいりましょう。
かつては、「白さ」が社会的ステータス
フランス語で白雪姫は、「Blanche-Neige」 |
ombrelle(オンブレル/日傘)片手にしゃなりしゃなりと歩く貴族のマダムのイメージは、そのままフランス人形やお姫様のイメージにもつながりますよね。
美的価値付けは脇においたとしても、そもそもblancheur de la peau (ブランシュール ドゥ ラ ポ/肌の白さ)は、richesse(リシェス/富)や室内労働のイメージからintelligence(アンテリジャンス/知性)の象徴でもあったわけです。
ところが、その後、トレンドは大きく「小麦色」へと変化することになります。
バカンスと太陽!「小麦色」こそセレブの象徴!
ヴァカンスの目的地として海にこだわり続ける主人公の姿がみられる『Le Rayon vert』 |
さて、20世紀も後半になってくると状況は一転します。フランスでも有給休暇の取得が一般化してくると、ヴァカンスへでかけるという習慣が一挙に定着することになりました。当時フランス人が求めたヴァカンスのdestination(デスティナシオン/目的地)は、なんといってもla mer(ラ メール/海)。INESSの調査によれば、1999年には20 millions(ヴァン ミリオン/2000万)のフランス人が浜辺で夏を過ごしています。
いわば、「小麦色」の肌は、ヴァカンスを海辺で過ごせるというステイタスの象徴。フランス国土の形を表すhexagone(エグザゴヌ/6角形)のうち半分しか海に面していないという事実を考えてみれば、お金がないので近くの海へという感覚とはほど遠いものがあります。日本でいえば、お正月にどこにも行けなかった人たちが真っ黒に日焼けしている海外帰国組を見るような感覚に近いものがあったのかもしれませんね。
とはいえ80年代に入ると、またもや状況は一変します。
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