11月ともなればすでに冬という感じで哀愁漂うフランスの街角。芸術の秋と言うようにアートな気分がふつふつとわき出てくる季節でもあります。ところで、みなさんは、1840年11月に、ほぼ時を同じくして世紀を代表する二人の芸術家がパリに誕生したのをご存じでしょうか?その二人とは、日本でもお馴染みのClaude Monet(クロード・モネ)とAuguste Rodin(オーギュスト・ロダン)。それでは、今回はこの二人の芸術家に思いをはせながら、芸術フランス語を勉強してみましょう。
フランスの子供になった気分でClaude Monetについて学ぼう!
芸術の秋!美術館めぐりも楽しい。 |
さて、このart (アール)ですが、日本では教養あふれる方とか、オシャレな方たちのもので、一般の人々とは縁遠く、なんとなく「大人」の雰囲気を漂わせている感じがしますよね。ところが、フランスでmusée(ミュゼ/美術館)めぐりをされた方は御覧になった経験がおありだと思うのですか、あちらでは美術館に子供があふれています。学校の授業なんかで、子供たちが絵を眺めながら地べたに座って指導者のいろいろな説明を聞いていたりします。私も、子供たちの後ろで、絵を見ているふりをして、その説明を盗み聞きした経験があるのですが、その内容はなかなかの「大人」レベル。「こんな難しいこと、あんな子供にわかるのかしら…。」などという余計な心配はよそに、子供たちはとっても楽しそうでした。
そんなわけで、今回はみなさんと一緒にフランスのTV局TF5のサイトにある子供用ページ、Le musée amusant(ル ミュゼ アミュザン/おもしろ美術館)からの引用で、Monetについてお勉強してみたいと思います。
フランスの子供用美術サイトではMonetどんな風に説明されているの?
解説のはじまりは、Ce peintre a vécu très longtemps, il est mort à 86 ans !(この画家はとても長生きで、亡くなったのは86歳でした !)というものです。この、Monetのような崇高な芸術家(artist /アルティスト)を「長生き」という世俗的な言い回しで、子供たちの身近な人物にしてしまうというテクニックはなかなかのものですね。私たちにも、少しばかりMonetが身近なおじいちゃんのように思えてきました。さて、そんなことに感心しているばかりではいけません。「芸術フランス語」に戻りましょう。このフレーズでの重要単語はやはりpeintre(パントル/画家)でしょう。フランス語の職業名は女性と男性で形が変わるのが一般的ですが、このpeintreはそのまま女性にも用います。
芸術家の集うテアトル広場では、様々なタイプの絵画が見られる。 |
ここでは、内容が過去形で語られているため、「描く」という意味の動詞peindre(パンドル)の過去分詞peint (パン)が使われています。過去の用法は、また別の機会にご説明するとして、まずは動詞peindreをしっかり覚えておきましょう。先ほどでてきました名詞peintre(画家)と動詞peindre(描く)は、1文字違いなので間違えないでくださいね。ちなみに、「絵画」のことはpeinture(パンテュール)といいます。ややこしいですよ。
また、上記の解説文にでてきたtableau(タブロー)も「絵画」、特に個別の作品をさす場合によく使われる単語です。フランス語の名詞は、英語のbook→booksのように複数形にするときは、sを付けるのが一般的なのですが、このtableauのように最後が-eauで終わる名詞はsの変わりにxをつけtableauxという形にしますので気をつけてください。
Monetの作風はこんな風に理解しよう!
次は、Monetが好んでかいた題材についての解説となっています。。1つめは、 des peupliers(プープリエ/ポプラ)、2つめはdes meules de foin(ムル ドゥ フォワン/干し草の山), 最後にla Cathédrale de Rouen(カテドラル ドゥ ルアン/ルアン大聖堂)。いかがでしょうか?Monetといえばles nymphéas(ナンフェア/睡蓮)しか知らないという方も、他の作品に興味がわいてきましたか?それでは、しめくくりの文章を引用してみましょう。
Un même paysage est représenté à toutes les heures de la journée sous tous les temps : ensoleillé, pluvieux, nuageux.
(たった一つの風景が、あらゆる時間帯、あらゆる天候(晴れ・雨・曇り)のもとで表現されているのです。)
脱帽です!たったこれだけの解説でも、こんな風に説明された子供たちは、確実にMonetの絵の前で「これは晴れた日の朝。」とか、「今にも雨が降り出しそうな午後。」という風に、どんどんイマジネーションを刺激され、お気に入りの一枚を自分の力で見つけることができるようになるでしょう。
わたしたちも負けてはいられません。今度のお休みには早速美術館にでかけてみませんか?
次のページでは、Rodinの生涯から学ぶ芸術フランス語:彫刻編をお届けします。