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料理の常識を覆す、目からウロコの料理本(3ページ目)

意欲的で、料理にまつわる迷信を払拭してくれるような家庭料理のレシピ本に出会いました。基本を教えられ、また目からウロコの調理法に驚かされ、そして私自身とても考えさせられ、勇気づけられた本です。

土屋 敦

執筆者:土屋 敦

男の料理ガイド

豊富な写真と丁寧な説明

調理過程の説明がとても丁寧で、写真がふんだんに載っており、また言葉での説明にもスペースを割いています。私のようにプロの元で修業したわけでもない人間にとって、これだけ細かく過程の写真が載っていると、今までよくわからずに感覚だけでやっていたこと、無意識にやってきたことを、きっちり意識的にできるようになります。

例えば、私はマヨネーズなどを作る作業(乳化させる作業)があまり得意ではないのですが、この本のマヨネーズの作り方では、18枚の工程写真を使って、マヨネーズの質感の変化が表現されていて、「このぐらい油と卵がなじんだら、泡だて器を1秒間に3周ぐらいのスピードで回せばいいのか」などと、よく理解できるのです。


塩加減

前述したように、塩加減は0.8%です(実際にはもう少し複雑で、また塩の振り方にも細かいルールがあります)。私はだいたい1%で計算して、レシピを作っていましたが、実はあまり自信がありませんでした。他のレシピ集だと、もっと濃い味のものが多かったからです。しかし、この本には、簡単ではありますが、この0.8%となる根拠も書かれていて、自分の塩加減も、それほど大きな間違いではない、と知ることができ安心したのです。

洋食に日本酒?

この本では、さまざまな西洋料理に、普通に日本酒を調味料として使っています。私も家に白ワインを常備しているわけではないので、西洋料理に日本酒をよく使います。しかし、どこかで、「邪道」のような気がしていて、ウェブサイトに載せるレシピを作るときはワインを使って作っていました。
しかし本書では、スペイン風オムレツもスペアリブカレーもクリームシチューも堂々と「日本酒」です(さすがにビーフシチューは赤ワインですが)。私も、著者を見習って、洋食に日本酒を使ったレシピを発表するようにしたいと思います。

シンプルな調味

この本ではダシの類や、ブイヨンやスープストックなどは使っておらず、塩を基調としたシンプルな調味で複雑な味わいを出しています。私もできるだけシンプルな味付けを心がけていますが、やはりどこか、(インスタントのダシや粉末ブイヨンは使わないものの)汁物や煮物はだし汁やスープがないと味が決まらない、と思ってしまう部分があります。塩を基調としてこれだけ複雑な味わいを出している本書を見習って、いっそう精進したいものです。

豚の角煮

私にとってここ数年で一番大きな課題は、「おいしい豚の角煮を作る」ということでした。それで2年以上も試行錯誤して、ついには本まで出してしまったのですが、私が最終的に納得できた角煮レシピは、通常の作り方とかなり違います。これは何度も作っているうちに、怪我の功名で偶然にできた部分が多いのですが、水島氏の理論を読むと、私の作り方もあながち間違いではないということになるようです(まあ、間違っている部分もあるのでしょうが…)。これには本当にほっとして、またとても勇気付けられました。


……さて、いろいろ長々と書いてきましたが、とにかく料理好きにとってはかなり面白い本なのです。また、初心者にとてもわかりやすい本だと思います。塩を0.1g単位まで計る点は、ちょっととっつきにくかも知れませんが、同時に大さじ小さじでの分量も一応表示してありますので、デジタルスケールはなくても大丈夫なようにはなっています(それでもスケールがあったほうがこの本の魅力は倍増するとは思います)。

興味のある方は、手に取って見てはいかがでしょうか?

『今日からおいしくなる洋食のシンプルルール』

※水島シェフは11月21日にNHKで放映されるためしてガッテン 新技発見! フライパン驚きの料理術に出演されるそうです。

実際に水島氏の料理教室に参加し、直接指導を受けたという、フレンチガイドの嶋さんの記事がアップされています!

◆ガイドのレシピのバックナンバーはこちらです。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※衛生面および保存状態に起因して食中毒や体調不良を引き起こす場合があります。必ず清潔な状態で、正しい方法で行い、なるべく早めにお召し上がりください。また、持ち運びの際は保存方法に注意してください。

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