さて、いよいよこのお肉を食します
最高品質の肉には、やはりそれにふさわしい食べ方があると思います。日本では牛肉を薄切りにしてしまうことが多いですが、旨味の流出や酸化のことを考えると、なんと言っても塊肉を入手し、できるだけ塊のまま調理すべきだと思います。
今回、この肉のパートナーとして選んだのは、炭火と、最高品質の塩、ゲランドのフルール・ド・セル(塩の花)です。他によけいなものは何もいりません。香りの強いスパイスやソース、醤油などを使うのは、お肉を冒涜しているようなもの。化学調味料や固形コンソメなどもってのほかです。
この塩は高いものですが、何しろ、私にとっては10年に一度食られるかどうか、最高品質の肉。これぐらいの塩を使わないと、お肉に失礼なような気がして、がんばりました。皆さんはそれぞれの予算の範囲で、できるだけよい塩を使ってください。
三梨牛モモ肉のロースト
まず、炭火をおこします。炎が収まり、熾き火になったら、モモ肉の塊に軽く塩少々をまぶして、焼き網の上に肉を載せます。塩をまぶすのは、必ず肉を焼く直前にして下さい。また、食べるときに振り塩をしますので、塩の量も少なめにして下さい。これを熾き火でじっくりと、好みの焼加減まで焼きます。たたきのような生に近い状態でも、しっかり火を入れても美味ですよ。焼いたら、そのまましばらく冷まして肉を落ち着かせます。焼いてすぐに切ると大切な肉汁が流れ出てしまいます。切り分けて、塩を軽く振って食べます。
昨年末、NHK秋田放送局の『てれびこまち』というテレビ番組で、後藤さんの育てる三梨牛のことが取り上げられました。番組内で、路直さんがとても印象的な言葉を述べておられますので以下に引用してみます。
出荷するときには、べこを車さ載せて、必ず撫でてや、心の中で「ありがとなー」と言って出荷するようにしている
やっぱりこういうふうに愛情注いで育てたもんだから、あまり無駄にもしてもらいたくないし、食う人たちにもよろこんで食ってもらいたい。それがこのべこの生きてきた証になる。そういう意味でできるだけ無駄に出る脂を作らないとか、味をよくするとか、努力しています
この言葉の持つリアリティ、きっと肉を食べたときに感じるはず。肉の持つ味わいを無駄にしないよう、われわれも、心して料理に挑み、誠実に調理したいものです。
三梨牛が買えるネットショップ ふじのや
NHK秋田放送局『てれびこまち』
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