フライパンは種類が豊富!使い分け方は?
家で全く料理をしないというならともかく、どんな家庭にでもフライパンの一つや二つはあるだろう。
フライパンは、新たな暮らしを始めるときなど、おそらく最初に買う調理道具の一つで、しかも日常的に一番使われる道具でもある。
そんなポピュラーな道具なのに、…というかポピュラーであるからなのかも知れないが、“料理にあわせてどう使うべきか”をあまり深く考えずに使ってしまいがちだ。
フライパンは、それこそ何十、何百もの種類があり、どれをどう選んだらよいか結構悩むもの。今回は、“どんなフライパンが、どのような調理に向くのか”、“どんなフライパンを揃え、どのように使っていけばよいのか”について紹介する。
まずは、代表的なフライパンのタイプを見ていこう。
フライパン種類別解説1:鉄のフライパン
鉄製で、その他特別なコーティングなどは一切されていない、いわゆる「鉄のフライパン」。
柄が木製のものも売られているが、何年も使っていると必ず柄がゆるんでしまう。 長く使いたいのであれば、柄も含めて総金属製のフライパンに限る。
鉄のフライパンは油がなじみやすく、よく手入れされたものは黒光りがして、焦げ付かせることもない。
特に強火で一気に炒めたり、また肉などに香ばしい焼き目を入れる調理などに向いている。
買って来たばかりのときは、少し銀色っぽい金属色をしている。 最初にクレンザーで表面の“保護膜”をとってから、じっくりと空焼きし油をひいてクズ野菜などを炒めることを何度か繰り返すと、立派な“黒光り”のするフライパンに仕上がる。
フライパン種類別解説2:テフロンのフライパン
最近は、このテフロンコーティングされたフライパンを日常のフライパンとしている人も多いだろう。
コーティングのおかげで、特別なメンテナンスがいらず、素材が焦げ付くこともない。
しかし、空焚きには弱いので、あまり強火の調理には向かない。また金属のヘラなどを使うとテフロンが傷つくので注意が必要だ。
テフロンのフライパンは、焦げ付きにくいことから 、“初心者用のフライパン”という印象があるが、決してそんなことはない。弱火で柔らかく火を通すような調理、たとえば魚介類のソテー、ムニエルといった調理には、鉄のフライパンよりも適している。 低い温度の油で素材を包み、かつムラが出ないよう絶えず素材を動かすには、テフロンのフライパンが最も向いているからだ。
また、イタリアンでリゾットを調理する場合も、表面摩擦の少ないテフロンのフライパンが、一番美味しく仕上げることができる。
テフロンのフライパンの中には、コーティングの張替えができる高級なものもあるようだが、安価なものを購入し、テフロンがダメになったら買い換えるという割り切りでもいい。
フライパン種類別解説3:アルミのフライパン
イタリアンのお店にいけば、必ずといっていいほど見られる、銀色のアルミ製のフライパン。
大きさの割りに非常に軽く、女性の力でもフライパンをあおるのに苦労しない。
アルミは高熱に弱く、また鉄ほど油なじみするというものでもないので、焼いたり炒めたりするのには向かない。アルミのフライパンは、ずばり、“パスタ専用”のフライパンと考えていい。
もちろん、他の調理にも使えるのだが、鉄やテフロンのフライパンがあるのであれば、無理にアルミを使うことはない。
アルミは明るい銀色をしているため、パスタのソースの“色”がとてもわかりやすい。パスタで使われる素材やソースの微妙な状態を判断するのにとても便利だ。
また、パスタとソースをあえるのに必要な、大きな直径のものでも、軽くてあおりやすい。
家庭でパスタを調理することが多いのであれば、アルミの、それも直径26~28cm(!)の大きなサイズのフライパンをおすすめする。 軽いので、できればガスコンロのそばにぶら下げておこう。“イタリアン”な雰囲気満点だ。
フライパン種類別解説4:スキレット
鋳鉄製の非常に重い鉄のフライパン。 その重さのせいで全く振ることができないため、あおるような炒めものには向かない。というより絶対あおれない…。
ステーキや、ハンバーグなど、最初に焼き目を付けてから、じっくりと火を通すような調理であればスキレットの右に出るものはない。
これらの他にも、銅製、ホーロー、ステンレスなど、数を上げればキリがないほど種類がある。もちろんそれぞれ特色があり、それぞれ適した使い方がある。別の機会があればこれらについても紹介したいと思う。
フライパンの揃え方・扱い方!初心者はやっぱりテフロン
フライパンの種類・特徴を解説!
料理の初心者は、“火加減”がなかなかうまく出来ないため、鉄のフライパンだと焦げ付かせてしまうことが多い。その点、テフロンは火加減に対する許容量が大きいため、それほど大きなトラブルなく作業できる。
一般のお店でも、テフロンの品揃えが最も多く、気に入ったデザインのものも選びやすいだろう。
鉄のフライパンは外せない
もしあなたが、ある程度料理の経験があり、テフロンのフライパンが物足りなく思えてきたのであれば、迷うことなく鉄のフライパンを手に入れよう。
最初の慣らしや、日常のメンテナンスなど、気を使うことも多くなるが、その分調理の“火加減”に敏感になり、以前よりも料理の腕があがっていくはずだ。
きちんとメンテナンスされた鉄のフライパンは、激しい強火で素材から水分を出さずに炒めたり、強火で表面を焼いてから、一転して弱火で中まで火を通したりと、調理の幅がグンと広がる。
もちろんテフロンのフライパンに向く調理法も多いが、やはり“男のフライパン”としては、鉄のフライパンを“メイン”にすえたい。
基本的には、鉄のフライパンと、テフロンのものがあれば、ほとんどの調理に対応できるだろう。
料理は“火加減”が要
ところで、フライパンを使っている人を見ると、その人が料理慣れしているか、それとも料理の初心者か、簡単に見分けることができる。
料理慣れしているしている人は、“火加減”がうまい。 常に素材とフライパンの状態を見て、微妙に火加減を調整し、思ったとおりに素材の状態を変化させている。
一方初心者は、レシピに“弱火”とあると、弱火にセットしたきりそのまま、強火というと強火のまま、火をスイッチの切り替えのように扱ってしまっている。これでは、時間がかかりすぎたり、焦げはじめて大慌てをしたりと、良い仕上がりは望めない。
この“火加減”の調整がうまくなるためには、常に素材の状態を観察し、「火が弱すぎないか?強すぎないか?」と考え、常に火力を調整しながら調理をすることを繰り返すといいだろう。
最初は、めんどくさいようだが、一度カラダで覚えてしまえば、無意識に“火加減”を適切に保てるようになる。
そうなると、「ちょっと別の準備のために、この状態をキープしておこう」とか、「時間がないから、いつもより早く仕上げよう」なんてことも可能だ。
基本のフライパンで経験を積んだら他の種類を
基本のフライパンで経験を重ね、料理の初心者を脱出したら、あとは自分の料理の嗜好にあわせて、いくつかフライパンを揃えていけばよい。
パスタを作ることが多ければ、大きめのアルミのフライパンを手に入れよう。
またステーキやハンバーグ、肉のローストなどを美味しく仕上げるには、スキレットが欠かせない。
いずれも、鉄やテフロンのフライパンでも美味しく仕上げることができるが、それぞれの調理にあったフライパンを使えば、それだけラクにまた確実に美味しい料理を仕上げることができる。
やはり、フライパンを使っての調理は、料理の基本だ。
自分の腕や、料理の嗜好と相談しながら、フライパンを揃えていこう。
料理の幅が広がるのとともに、台所にお気に入りのフライパンが増えていくのを見るのは、とても楽しいものなのだ。
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