今年の秋旅、ほっこり昔を体感する旅なんていかがです?
江戸時代の宿場町へタイムスリップしたような茅葺き屋根の並ぶ旧街道を散策。
近くには掛け流しのひなびた温泉があり、トロッコ列車が走るローカル線も楽しめる。
秋は紅葉がそれはそれは見事。きのこもおいしいし、新蕎麦もシーズン到来。
そんな場所はどこかといえば、会津。それもちょっと奥の会津です。
参勤交代の殿様も通った大内宿でほっこり散策
大内宿ってご存じですか?
江戸から日光を経て会津若松や山形を結ぶ会津西街道沿い、今も石畳の旧街道が残る古い街道筋に残る宿場町です。
約40軒の茅葺き民家が江戸時代の面影を残し、その風景を眺めているだけで、なぜか心が安らいでくる、とてもほんわかと温かくなってくる場所なのです。
江戸時代の宿場町そのままの大内宿。なだらかな坂道沿いに建つ家並みが美しい |
ここ大内宿は会津の殿様が、会津若松を出立し、氷玉峠を越えて昼食を取った場所。
奇跡ともいっていいほどに、藁葺き家屋が街道の両側に並び、家の前には山の湧き水がそのまま引かれています。
お殿様がホッと一息ついた、そのままの情景に触れられる、ほかにはない貴重な場所なんですね。
国重要伝統的建造物群保存地区に選定されていますが、こんなふうに家並みが江戸時代のままに残ったのには訳があります。
会津は江戸時代までは福島県の文化や産業、流通の入口で最も発展した地でした。大内宿のある会津西街道も、それはそれは賑わったそうです。
しかし、幕末の戊辰戦争によって会津は倒幕軍の侵攻により壊滅。明治以降もさまざまな迫害を受けて、街道も寂れていきます。
そういった歴史的背景から、大内宿はいわば忘れられた宿場町となっていったのです。
宿場町の家々は、宿場を運営しながらも、農業を営んでいたため、町そのものが廃れてしまうことは免れました。
今も農業を営む家が多く、夏には家の前の水路で野菜を洗ったり、秋には収穫された稲穂が街道沿いに干される風景に出会えます。ほかの宿場町と違ってのどかなのは、そんな暮らしの息づかいを感じられるからでしょう。
氷玉峠に向かう山道から見下ろした大内宿。江戸時代そのままの日本の原風景だ |
現在は観光化もされ、家の縁側でお土産品を売ったり、地粉を使った手打ちの蕎麦を食べさせてくれたりします。
同じお土産店でも、売られているものは、少しずつ異なり、名産の会津木綿を使った袋物を売る店、土鈴など郷土玩具を並べる店、自家製の味噌や山菜の佃煮を売る店など、一軒一軒、じっくり覗いてみたくなります。
高い空に映える秋の大内宿、皆さんもぜひ、ぶらりと歩いてみて下さい。
そして健脚の方は、会津盆地が見渡せる氷玉峠まで約2キロのなだらかな山道を歩いてみてはいかがでしょう。また、素敵な風景に出会えますよ。
<大内宿データ>
■交通:会津若松よりJR只見線経由会津鉄道で45分、湯野上温泉駅下車。
または浅草駅から東武鉄道・野岩鉄道会津鬼怒川線経由会津鉄道で4時間25分、湯野上温泉下車。
★会津田島から会津若松までの会津鉄道では、週末、「おざトロ列車」なるお座敷とトロッコ車両を連結した列車が走ります。
乗車は運賃にプラス整理券300円のみ。
大川渓谷の鉄橋の上では撮影タイムで停車したり、トンネル内では天井に星空がまたたいたり、それに売店付。満席になると乗れませんので、週末はお早めに。
2006年9月30日~11月19日までは毎日運行! 時刻表などは会津鉄道のサイトをチェックしてください。
車:磐越自動車道会津若松ICから国道49号、118号などで約35km
(宿場内は車両進入禁止のため、大内宿有料駐車場を利用のこと。1回300円)
■Yahoo!地図情報
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