ステークホルダーとは何か
ここ数年、「会社は誰のものか?」という問題が広く議論されるようになってきました。株主のものだ、いやいや、ステークホルダーのものだ、などとさまざまな意見が飛び交っています。ん?ステークホルダー?ステークホルダーって何だろう……ステークをホールドする人?じゃあ、ステークって何?いろいろ疑問が広がってきます。その前に、株主は英語で何というのでしょう。そもそも株は英語で何というのでしょう。
<目次>
株主は英語でstockholder
株を英語ではstock
あるいは
share
といいます。このことから、株主のことは
stockholder (または stock holder)
shareholder (または share holder)
というように、stock または share を保有する(=hold)人という表現になるのです。また、株のことを equity と呼ぶこともあるので、その場合の株主は equity holder と表現されます。
これで株主の英語表現はわかりました。
ステークホルダー(stakeholder)という英語の意味
では問題のステークホルダーとは一体どのような意味の英語なのでしょう。 まず英語のスペルは stakeholder(またはstake holder)となります。これを1998年版のランダムハウス英語辞典で引くと、経済に関連した意味として
「(事業・産業への)投資者(グループ)」
と出ています。すると、会社はステークホルダーのものという主張は、会社は投資者のものという意味になり、会社は株主のものという主張と大差なくなってしまいますね。どうも、この「投資者」という意味で使われているようではないようです。
ステークホルダーという英語の本来の意味
ステークホルダーは20世紀初頭から一般的に使われるようになった言葉だと言われています。当初の意味は、賭け金を保管する人、というものでした。賭け事において、賭けの結果が出るまで誰かが賭け金を保管しなければなりませんが、その役目を負っているのがステークホルダーです。
その後上に書いたような意味でも使われるようになりましたが、「会社はステークホルダーのもの」という表現で使われているステークホルダーは、もう少し広い意味のようです。
広い意味でのステークホルダー……利害関係者と訳されることも
じつは1990年代に入ってから、ステークホルダーはより広い意味で解釈されるようになりました。Wikipedia、Webster Dictionary などによると、1990年代に入ってから次のようにステークホルダーの意味が拡大解釈されるようになったそうです。
the concept has been broadened to include everyone with an interest (or "stake") in what the entity does. That includes not only its vendors, employees, and customers, but even members of a community where its offices or factory may affect the local economy or environment. (出典:Wikipedia)
(この考え方は拡張され、事業体が行うことに利害(「ステーク」)を持つすべての人を含むようになった。そこには、メーカーや、社員、顧客だけでなく、その会社のオフィスや工場が経済や環境に影響を与えることになる地域の構成員も含まれる)
注:
interest 利害
vendor メーカー、サプライヤ
このように、現在では投資者だけでなく会社などと利害をともにする人や地域などを含めて広くステークホルダーと言っているようです。そのため日本語では「利害関係者」と訳されることもあります。
これに伴い、stake の意味も、従来の「賭け金」という意味から、「利害関係」という意味を持つようになってきました。
新聞で目にするカタカナ英語
新聞ではさまざまなカタカナ英語が新たに登場してきます。ステークホルダーも10年前には一般紙に登場することはほとんどありませんが、最近ではよく目にします。このほかにも、「あれ、このカタカナ英語は何を意味するんだろう?」と思ったら、ぜひ辞書やインターネットを駆使して、その意味を調べてみてください。ボキャブラリーの発展に必ず役立ちます。
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