「公認会計士」受験生が人気講師に転身したワケ
ガイド:それほどまでに努力してこられた「公認会計士」へのチャレンジに区切りをつけて、現在のお仕事を始められたときは、きっと大きな決断だったと思うのですが、この選択をするきっかけは何だったのでしょうか。
多田さん:
受験3回目が不合格になったときに、尊敬する講師から「受験を止めて教える側でやってみないか。講師に向いていると思うよ」と声をかけていただきました。
私は「あと1回受験したい。試験が終れば合否に関係なく講師をさせてください」と答えました。勉強で悩んでいるひとに対してアドバイスをしたい、わかりやすい授業をしたいという気持ちがこの頃からありました。
よって、4回目の受験が終了して4,5日後には講師になるための準備をはじめていました。講師として仕事をはじめた時は、「とにかくわかりやすい授業をしなければ」という想いしかありませんでした。
ガイド:
結果的にその講師の方が、誰よりも先に多田さんの適性を見抜かれていたわけですね。
いざ、講師として活動を始めてみていかがでしたか?現在のような指導ノウハウを確立されるまでにはいろいろなことがあったのではと想像するのですが。
多田さん:
講師としての最初の壁は、やはり「話し方」です。
人前で話をすることが苦手だったので、とにかく練習するしかありません。朝早くから学校に行き、誰もいない教室で何度も何度も講義の練習をしました。大阪城公園に行きベンチの上に立って練習もしました。
実際に教壇に立ってからも、話すスピード、メリハリの付け方、黒板の使い方など、顧客満足アンケートを実施し、客観的評価をしてもらうことで、悪い部分の改善に努めていました。
また、他講座で評判のよかった先生のところに突然おしかけて、講義方法のアドバイスを求めたこともありました。
ガイド:
ビジネスパーソンの方でも、意外に「人前で話す」という機会がありますが、苦手と感じている方も多いようです。そんな方々にも参考になりますね。
多田さん:
さらに、どんな質問にも的確に答えられるチカラが必要です。講師になってわかったことですが、受験生の理解レベル、疑問点は本当に千差万別です。その人のレベルにあった回答をするむずかしさを痛感。先輩がどのように質問に答えているのかをくまなく観察していました。
そして、勉強のできない人をサポートするためには、勉強内容だけでなく生活習慣やメンタリティーの部分まで踏み込む必要があることに気付きました。
ガイド:
やはり、「教えられる側」から「教える側」になるというのは、大変なんですねえ。
そんなふうに試行錯誤をしながら、着実に講師としてのノウハウを身に着けていかれた多田さんですが、実際に多田さんの勉強法を実践した受験生のエピソードを伺いたいのですが。もちろんプライバシーに触れない範囲ですけど。
多田さん:
昨年度合格したHさんの場合をご紹介しましょう。
1回目の試験は短答式試験で不合格。偏差値は40程度。この時点でわたしのところに相談に来ました。
まずしてもらったのが、手帳に1日の行動、勉強内容などを記録すること。
最初のころは3日に1回ぐらい行動管理帳をチェック。寝坊や休憩時間が長いことの原因を追求し対応策を考えることで、1週間の累積勉強時間が30%ぐらいアップしました。
ガイド:
1週間でそんなに変化が!行動を見直すだけでそんなに変わるんですね。
多田さん:
はい、そうなんです。1ヵ月後には、わたしがガミガミ言わなくても勉強するようになりました。
ただし、具体的な暗記方法や文章作成スキルの習得は最後の最後まで納得いくレベルに達することができませんでした。それでも、短答式試験をギリギリの点数でクリアーし、論文式試験も勢いに乗って合格。
Hさんの昨年度の1年間累積勉強時間は3500時間を越えたと思いますが、「先生の勉強法は、単にド根性論ではなく緻密な戦略のうえに成り立っているので楽しく勉強できました」と言ってもらえました。
多田さんへのインタビューはまだまだ続きます。これまで培った合格ノウハウの中から、とっておきの勉強法を教えていただいた【後編】(6月29日掲載)もチェック!
※参考リンク
■資格試験研究室~合格ジャンボリー
多田さんが運営する試験勉強ノウハウ満載のサイト。役立つ情報がぎっしりです。
■リンク集:資格取得のノウハウを知る
勉強法や役立つ体験談など、資格取得に関するノウハウを集めました。