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販売士検定とは?各級のレベル・合格率・対策・資格の効果など

「販売士」は、40年余の歴史を持つ流通業界の定番資格。販売士検定の概要、試験対策、難易度と合格率、更新など、「販売士検定」に関する疑問を徹底解剖。さらに、販売士の資格を取得した後のメリットや資格の活かし方についてもご説明します。

いぬかい はづき

執筆者:いぬかい はづき

仕事に活かせる資格ガイド

販売士検定試験とは?

販売士資格のレベルとは

販売スキルから在庫管理、マーケティングまで、幅広いスキルが求められる「販売士」ってどんな資格?


簿記、FP、ビジネス実務法務検定……などなど皆さんがよくご存知のいわゆる「定番資格」を様々な角度から再検証する、このシリーズ。

今回は、流通業界唯一の公的資格「リテールマーケティング(販売士)検定試験」を取り上げます。概要、対策、効果など、「販売士検定試験」の全てをあらためて確認してください。
   

「販売士」とは、どんな資格?

「販売士」とは、「リテールマーケティング(販売士)検定試験」合格者にのみ与えられる、いわば「販売のプロ」の称号。昭和48年度の創設以来、40年以上の歴史を持つ資格です。

少子高齢化やライフスタイルの変化をはじめ、IT(情報技術)化の急速な進展、流通外資の相次ぐ参入などにより、流通を巡る状況は、急激かつ大きく変化しています。

そのような中、流通業界で最も必要とされているのが、
  • 多様化・高度化した顧客のニーズを的確に捉える
  • 豊富な商品知識や顧客に配慮した接客技術を持つ
  • ニーズにあった商品を提供する
  • 商品の開発や仕入、販売、物流などを効率的かつ効果的に行う
ことができる「販売のプロ」です。

「リテールマーケティング(販売士)検定試験」は、
「業種・業態に関わらず、小売・流通業の成り立ちや商品政策(マーチャンダイジング)から、店舗運営、マーケティングまで、販売に関する商品政策のあらゆるノウハウを習得できるビジネス直結型の試験」
として、百貨店やスーパーなどの小売業はもちろん、卸売業や製造業、こうした業界を目指す学生まで、広く受験者を集めています。

なお、現在の名称「リテールマーケティング(販売士)検定試験」は、修得できる知識や実務能力をより的確に表すために、2015年度に変更されたものです(合格者の称号は「販売士」のまま)。
 

販売士検定…試験の概要

試験概要(新科目体系) 3級:筆記試験100分
2級:筆記試験150分
1級:筆記試験200分
※筆記試験は小売業の類型、マーチャンダイジング、ストアオペレーション、マーケティング、販売・経営管理の5科目共通
※得点平均70%以上で、1科目ごとの得点が50%以上で合格
※1級~3級ともに、試験科目の一部免除措置あり
受験料 3級:4,120円 2級:5,660円 1級:7,710円
実施会場 申込時に全国各地の商工会議所から選択して受験(詳細は公式HP)
※申込日時、申込方法は、試験日の約2ヵ月前に受験希望地の商工会議所にご確認ください
 

販売士検定…各級のレベル

各級のレベル(どの級からでも受験可能)
 
  • 【3級】
小売店舗運営の基本的な仕組みを理解し、販売員としての基礎的な知識と技術を身につけている。販売や接客に秀でた人材を目指す。最近では、小売業だけでなく、営業マンの必須知識として、社員教育に取り入れている卸売業や製造業なども増えている。
<対象:売場の担当者など>
  • 【2級】
小売店鋪経営の仕組みを理解し、主として小売業の販売技術に関する専門的な知識を身につけ、販売促進の企画ができるとともに、部下の指導・養成ができる。販売部門や売場を包括的に管理する人材を目指す。大手の小売業などでは部課長への昇進試験に活用しているところもある。
<対象:売場主任、部課長など中堅幹部クラス>
  • 【1級】
経営に関する高度な知識を身につけ、商品計画からマーケティング、経営計画の立案や、財務予測等の経営管理について適切な判断ができる。大規模小売店舗の店長やスーパーバイザー、経営者など戦略的に企業経営に関わる人材を目指す。大手の小売業などでは、店長昇格のための条件にしているところもある。
<対象:大規模小売店の店長や部長クラス、中小小売業の経営者クラス>

※なお「販売士」資格は、5年間の更新制です。資格更新には、所定の講習会ならびに通信教育の受講などの更新要件があります。

公式サイト:商工会議所の検定試験:販売士

 

販売士検定…合格率と対策

公式サイトで公開されている販売士検定試験の合格率推移によれば、3級がおよそ50~60%台、2級が40~50%台、1級が10~20%台で推移しています。

他の検定試験同様、1級の難易度はかなり高めですが、2級、3級は真面目に準備をすれば、十分に手が届く範囲の合格率と言えるでしょう。

一方、受験者属性の詳細を分析すると興味深い結果も。一概には言えませんが、特に2、3級においては、試験内容に密着した実務経験を有すると思われる流通業界関係者よりも、製造業やコンサルタント業といった「異業種」、あるいは無職やその他といった属性の受験者の方が、全体の平均を上回る合格率で推移していることがわかります。

つまり、試験合格のカギは、適切な学習にあり!です。まずは、1級の70%、2級の80%、3級の90%がその中から出題される「販売士検定試験ハンドブック」を手に入れることから始めましょう。

【販売士検定試験ハンドブック】
販売士検定試験ハンドブック(編集:日本商工会議所・全国商工会連合会、発行:株式会社カリアック)

【その他参考書籍】
販売士検定試験関連書籍(Amazon)

ハンドブックや参考書を使った独学でも、十分合格を狙うことはできますが、独学でちょっと不安、あるいは効率良く学習したいという方向けに通信教育講座も提供されています。受講者には、一部科目免除などの特例措置もあります。

【販売士養成通信教育講座(日商指定講座) 】
社団法人公開経営指導協会:販売士検定講座
学校法人産業能率大学:販売士検定通信講座

 

「販売士」資格の効果

流通業界では定番のこの資格。合格後、どのくらいの「効果」があるものなのでしょうか?一般的に考えられる「効果」を挙げてみましょう。

■その1:企業内でのキャリアアップに効く!
日本商工会議所が推進し、長い歴史を持つ「販売士」、企業での知名度は抜群です。そのため主要百貨店、スーパーなどの販売職はもちろん、東芝、オムロン、資生堂などのメーカーやNTT、JR東日本などのサービス産業でも、営業職を中心に資格取得が奨励されています。

当然、人事異動や採用の際の能力評価の参考にする企業も多いため、資格を取得すれば、即ち自分自身の評価を上げることにもつながります。特に、自社の取得推奨資格として「販売士」が挙がっているという人は、積極的にチャレンジしてみると良いでしょう。

■その2:流通業界が好調の今なら、就・転職に効く!
「経験優先」の傾向が強い転職市場にあって、比較的「未経験OK」の求人が多いのが、販売職や営業職です。景気が持ち直してきた昨今は、流通業界も上向き。特に必須資格は無い販売職ですが、「経験者」との競い合いでは、アピール材料はもちろん多い方が良い!

専門知識やスキルを客観的に証明する「販売士」資格は、そのひとつとして効果を発揮するでしょう。また前述のとおり、流通業界のみならず、幅広い業界で知名度が高いのも「販売士」資格のメリット。他業界での就・転職を目指す場合にも、それなりの効果は期待できます。

■その3:ビジネスパーソンの基礎力アップに効く!
「販売士」というと、どうしても「販売職の資格」というイメージが強く、他の職種との関連性は低い印象を受けます。しかし、1、2級ともなれば、直接的な「販売スキル」のみならず、マネジメント職としての知識・スキルやマーケティング能力など、その内容は多岐に渡ります。

ビジネスパーソンに人気の資格「中小企業診断士」の商業分野とも重なる部分が多いと言われ、近年の受験者に、コンサルティング関係者が増えてきてるのも納得です。

企業で働く一人一人に経営センスが求められるのが今の時代。「販売職じゃないから……」と見逃してしまうのは勿体ないかもしれませんね。
 

■「ほんとに知ってる?定番資格シリーズ」バックナンバー
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