資格・検定/資格アーカイブ

資格の役立て方

ある人にとっては「役立つ資格」が、別の人には「役立たない資格」という事実。同じ資格が、全く違う効果を生んでしまう別れ道とは?

いぬかい はづき

執筆者:いぬかい はづき

仕事に活かせる資格ガイド

ポイント1:「資格選び」の時期にしなければいけないこと

■経験・キャリアに合った資格を選ぶべし!
ある程度の期間、経験を積んだ職種や業務に関連する資格を選ぶのは、何と言っても「役立つ資格」を取る早道です。この場合の資格は、経験・キャリアを裏付ける客観的な評価となり、転職などの際にも効果を発揮します。

■適性に合った資格を選ぶべし!
適性とはおおまかに言うと、自分の「興味・能力・価値観」のこと。例えばいくら興味があっても、「昔から数字が苦手!」という人にとって、「簿記」の勉強はかなりの負担。「一人で黙々と仕事をしたい」という価値観の人が、「MOT」のようなインストラクター資格を取ってもミスマッチでしょう。まず自分のことをよく知ってから、資格を選んでも遅くはありません。

■キャリアビジョンに合った資格を選ぶべし!
どんなに興味を持った資格でも、自分の将来的なキャリアビジョン(目標)にマッチしていなければ、「役立ち度」は期待できません。例えば、社内で「こんな風に働きたい」「あんなふうになりたい」という目標がある人は、それを実現している人の経歴やスキル、資格を徹底分析してみましょう。共通する資格が見えてくれば、それを狙うのも効果的。

■市場価値の高い資格を選ぶべし!
基本的に経験者優遇の雇用市場にあっても、経験者が少ない、あるいは圧倒的な人材不足の業種・職種に関連した資格は、たとえ未経験でも資格を活かせるチャンスがあります。最近では、「証券外務員資格」などがこの好例。転職サイトや求人誌などをチェックして、旬の資格を見つけましょう。

■資格効果が期待できる最低レベルを見極めるべし!
一般に「役立つ資格」と呼ばれていても、その取得レベルによっては、ほとんど効果が期待できないことがあります。例えば英検なら準1級以上、TOEICなら600点以上、簿記なら3級(経理専任なら2級)以上が、資格効果を狙える最低ラインと言われています。「手頃なところから挑戦」とばかりに、難易度の低い資格ばかりを集めても「役立つ資格」には遠いかも。

■難関資格は見通しをしっかりと!
資格ホルダーが極端に少ない、いわゆる「難関資格」は、当然市場価値も高くなります。しかし、その分取得のハードルも高いため、それなりの期間、出費を覚悟しなければいけません。例えば職を辞め、試験勉強に専念したのに合格しなかった……では、いたずらに空いたブランクが、再就職の足をひっぱることになるかもしれません。


ポイント2:「資格勉強中」の時期にしなければいけないこと

■就・転職活動は勉強中からスタートすべし!
「就・転職のために資格を取った」という人に多いのが、就職活動は資格を手にしてから……というパターン。活動に必要なレジュメ(履歴書・職務経歴書)の準備や面接対策などは、予想以上に時間がかかるもの。また、試験勉強に専念している間は、どうしても雇用市場の状況に疎くなりがちです。気がつけば、せっかく資格を取ったのに、すぐには企業にアプローチできない状態が続くことも。雇用側は、資格取得後のブランクを意外と気にしますから、これは絶対不利。

例えば資格スクールの講師や仲間との情報交換、異業種交流などでの人脈形成などが思わぬチャンスを引き寄せることもありますし、「資格取得見込み」で企業にアプローチをかけてもOK。早め早めに動くことが、資格の活用には効果的です。

■方向転換は迅速にすべし!
いざ、資格試験に向けて勉強を始めてみたら、どうも内容が自分に合わない(面白くない、難しい)、仕事が急に忙しくなって勉強時間が取れないなど、思惑がはずれることはあるでしょう。そんなときには「傷の浅い」うちにリタイアなど、方向転換するのも1つの方法です。

もちろん様々なハードルを乗り越えて取った資格には、特別な感慨があるでしょう。しかし、実際の勉強を始めたからこそわかることもあるのです。特に、職を辞めてまで資格を目指した場合にはなおのこと。先行き不安なまま、いたずらにブランクを重ねるよりも、仕切り直しをした方が良いことも。

ポイント3:「資格取得後」の時期にしなければいけないこと

■就・転職活動では○○プラス資格をアピールすべし!
○○には、職種や業種の経験、パーソナリティ、マネジメントや企画力などのビジネススキルなど、これまでのキャリアで培った強みの内、相手企業のニーズにマッチするものが入ります。特に未経験で資格を活かしたいと思うとき、「資格だけ」をアピールするのは逆効果。採用決定場面では、かえって「○○」の部分がカギを握ることが多いのです。

■資格を役立てられる場面を貪欲に開拓すべし!
「簿記を取ったけど、未経験だから採用されません。だから諦めます」という人がいます。もしかしたら、今回「資格が役に立たなかった」と回答した中にも、こうしたケースが多いかもしれません。

未経験の資格ホルダーにとって、資格活用のハードルが高いのは当然です。むしろ、未経験の分野で資格を取ったという人に、ぜひ持って欲しいのは、「せっかく取ったのだから、なんとしてでも資格を活かす!」という貪欲さ。副業、趣味、ボランティア……。その気になれば、資格を役立てられる場面はいくらでも考えることができます。今いる職場で、自分自身の新たな業務を提案することだってできるでしょう。

■資格名・職業名にこだわるな!
例えば、私が最初に取った資格は「産業カウンセラー」。しかし、「産業カウンセラー」という名称での募集はほとんどなく、あったとしても経験者優先で、資格を取っただけではどうにもなりませんでした。そこで、方向転換。「産業カウンセラー」を目指した理由は「働く人の話を聞くことによって、その人の役に立つ仕事をしたい」ということ。そこでひらめいたのが、「相手の話を聞いて、その人の良いところ、ニーズを引き出し、適した仕事を紹介する」派遣会社のコーディネーターの仕事でした。

結果的に、その会社でスタートした「キャリアカウンセリングのプロジェクト」に、「産業カウンセラー」の資格が買われて、現在のような仕事をするようになったわけです。資格を取ると、ついついストレートにその資格を活かすことばかりを考えてしまいがちですが、名称は違っても、内容的には十分役立てられる可能性はあるのです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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