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防火管理者は責任重大!

先日、新宿のビル火災で死亡事故があったのを覚えておられるでしょうか?その被災建物の防火管理者が逮捕されたのです。何があったというのでしょうか?この資格の責任について解説します。

執筆者:山下 智之

【防火管理者逮捕さる!】

東京都新宿区で2001年10月、7人が死傷した「歌舞伎町三洋ビル」火災で、警視庁は1月10日、火災に対する注意義務を怠ったとして、出火元となった5階のエステ店「ひまわり」の当時の防火管理者を逮捕しました。容疑は「業務上過失致死」です。この容疑者は、5階部分の防火管理者を務めていながら、消防設備の管理・点検や客の避難誘導など火災に対する注意義務を怠り、2人を死亡させた疑いが持たれています。
「ひまわり」の店内では、煙感知器が取り外されていた他、防火扉も入り口付近に置かれたスチール製ロッカーなどが障害になって閉まらなかったといいます。2本あった消火器も使用期限切れなどで、火災前の2001年1月に東京消防庁から指摘された防火設備の不備も改善されていなかったということです。
調べに対して、この容疑者は「私には責任が無い」と言っているとの事。

【防火管理者の役割とは?】

消防法では、従業員等を含む30人以上の人が出入りする劇場・百貨店・旅館・飲食店・病院などの建物や50人以上の人が勤務または居住する事務所・工場・共同住宅などの建物では、防火管理者を定めて管轄の消防署長に選任の届出をしなければなりません。
そしてその業務は以下のようなものです。

1 消防計画の作成
2 消火・通報および避難訓練の実施
3 消防の用に供する説示・消防用水または消防活動上必要な設備の点検および設備
4 火気の使用または取り扱いに関する監督
5 避難または防火上必要な構造および設備の維持管理
6 収容人員の管理
7 その他の防火管理上必要な業務

消防計画がちゃんと作成されていたのかは今回の場合、明らかではありませんが、おそらくこういう状態だと作成されていなかったのかもしれません。何より、いざという時のための避難路の確保も、消防設備の設置も、満足には行われておらず、出火時の客の避難誘導もなされていませんでした。
このような雑居ビルでは、共同防火管理といって、各テナントの防火管理者が集まって、年に1回程度は防火管理者同士の連絡会を開いたり、避難訓練や消化訓練を行ったりするものです。おそらくそういった活動もなかったのでしょう。
根本的に防火管理は出来ていなかったと言わざるを得ません。「責任が無い」とは思えないのです。

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