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試験方法変更は朗報?人気資格を仕事に活かすなら 取る前に考える「USCPA」(3ページ目)

2004年4月に試験制度が変更され、受検機会が増えたことで、俄然注目を浴びているのが「USCPA」(米国公認会計士)。しかし、本当に「仕事に活かせる資格」にしたいなら、取得前に考えて欲しいことがあります!

いぬかい はづき

執筆者:いぬかい はづき

仕事に活かせる資格ガイド

「USCPAを仕事に活かす」ならプラスαが不可欠!

国内外で、USCPAを活かして働く場合の留意点を検証しましょう。

●アメリカでUSCPAを活かすなら
アメリカでUSCPAを活用する方法として一番わかりやすいのが、監査法人に所属して、「独占業務」である「監査業務」をすること。
しかし、これはそう簡単な道ではありません。

第一に、日本人がアメリカで仕事をするためにはビザの取得が必須だということ。既に日本の公認会計士として監査法人に所属し、会計の知識・スキルがあると判断される場合には比較的簡単にビザがおりるケースもありますが、「キャリアチェンジ」組には高いハードルとなるはずです。

第二に、USCPA試験に合格しただけではUSCPAと名乗ることはできない、ということです。原則として、名刺などに「USCPA」と表記できるのは更に倫理試験などを受けて「Certificate」(資格証明書)の交付を受けてから。また個人開業するには、日本の公認会計士と同様実務経験を経て「License」を獲得しなければならず、これにも当然時間とコストがかかります。

第三に、ビジネスの場で使えるだけの英語力が必要だということ。ビッグ4と呼ばれる大手会計ファームでは日本人と言えどもアメリカ人と同様に扱うというファームポリシーを持ち、要求される英語力も相当高度なものだと言われています。USCPA試験自体は、読み書きレベルの英語力でも対応可能ですが、仕事となるとそうは行かないということです。

同様のことは「監査業務」以外の領域、職種に就く場合にも共通です。つまりこれらのことは、「国際派転職」のためにUSCPAを目指す場合に避けて通れない課題というわけです。

●日本でUSCPAを活かすなら
それでは、日本国内でUSCPAを活かすとしたらどうでしょうか?
日本では、USCPA取得者には「監査報告」の権限が無いことは前述のとおり。それでも最近では「公認会計士」の圧倒的な不足から、監査業務の補助スタッフとして、国内の監査法人がUSCPA取得者を採用するケースも多くなったのは事実です。
しかし、2006年度から変更予定の「公認会計士」試験制度では現行試験よりも受験生の負担が減り、「公認会計士」合格者の増加が予想されるため、必然的にUSCPA取得者の需要が減少する可能性もあり。
また、実績を積めば「独立」の道も考えられる「公認会計士」の同僚に比べ、業務の幅が限られることに対するフラストレーションは否定できません。

その他の領域・職種に至っては、USCPAが「決め手」となるかどうかは、むしろ実務経験や身につけてきた強み・スキルとの組み合わせによると言って良いでしょう。

特に、「『転職に効く資格』ホントの実力」でも紹介したように、実務経験が重視される経理職への転職は、未経験だとUSCPAを持っていても厳しい道。逆に実務経験があれば、USCPAのレベルまでいかなくても、国際会計の実務をこなすのに必要な知識をもっていることを証明するには「BATIC」でも十分アピール材料となり得るのです。

********************
このように、USCPAを本当に「仕事に活かせる資格」にするためには、USCPAと組み合わせる「プラスα」が肝心ということ。この「プラスα」が何であるか、自分のキャリアをじっくり見直すことが必要です。
加えて、「USCPAを取ってやりたい!」と思う領域・職種に「本当にUSCPAが最も効果的なのか」も再検証することもお忘れなく!

=関連リンク=
資格を取ってその先どうする」
『転職に効く資格』ホントの実力」
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