資格・検定/資格アーカイブ

修士・博士の値打ち

大学院新設が相次いでいます。それとともに大学院そのものの質の低下も指摘されています。実態はどうなのでしょうか?

執筆者:山下 智之


「末は博士か大臣か」昔の人はこう言って、博士と大臣を同列に扱うくらい「博士」というのは偉い人でした。
でも最近はどうも、その値打ちが下がってきているようなのです。

国立大学の学生定員の推移を見ると、以下のような傾向が見られます。

平成4年  学部 約42万人  大学院 約 7万人 
平成14年 学部 約40万人  大学院 約12万人

学士を養成する学部の定員数が微減であるのに対して、大学院は2倍近い伸びになっています。つまり、大学院は入りやすい学府となったのです。
国立大学だけを見ると4年生大学を終えて大学院に入る者が全体の30%に達することになります。これは、理系文系合わせての数ですから、理系の大学院進学率はこれよりも多いと見るべきでしょう。



そうなると気になってくるのが、大学院における教育の質低下です。大学院入学者自体を多くする施策として、専門学校修了者も大学院への入学を認めようとしているのかも知れません。(記事:「専門士も大学院へ」参照)

日本における教育水準が上がるのは喜ばしい事です。大学院の定員枠が広がることそれ自体は非難されることはないでしょう。要はいかにその質を保ち、向上させるか?という事だと思います。
先ほどの統計は、国立大学だけですから、私学まで合わせれば大学院の定員枠はもっと多いのです。修士・博士の値打ちを下げないためにも、政府はそろそろ枠の拡大から、質の向上に政策を移すべきだと思います。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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