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苦節2年半。持ち越し科目最長。なんとか合格 「電気通信主任技術者」体験記

「電気通信主任技術者」という資格をご存知でしょうか?ネットワーク業界人以外にはあまり馴染みの無い資格ですが、実はこの資格はインターネット時代のコアになる可能性を秘めているのです。

執筆者:山下 智之


突然ですが、皆さんが加入しておられるインターネットプロバイダを開業するにはどうしたらよいかご存知でしょうか?
ネットワーク技術者を雇って、NTTの高速回線を引き込んで、モデムを大量に設置してと、ここまでは誰でも思いつくでしょう。あと一つ重要なことがあるのです。それは、筆者のように「第2種電気通信主任技術者」資格を所有している人を探してくることです。
 この資格は一般にはまだまだ知られていないと思いますので少し説明させてください。
 「電気通信主任技術者」という資格を知るためには先ず、電気通信事業法という法律を知る必要があります。電気通信事業法において、電気通信事業者は、主たる事業所において「電気通信主任技術者」を選任し、設備などの管理を行わせる必要があると定められているのです。
 電気通信事業者には3つあります。

第1種電気通信業者 :
 NTTのように、自ら回線設備を所有し、不特定多数の利用者に電気通信サービスを提供する事業者のこと。

特別第2種電気通信事業者 :
 ニフティのように、自分では回線設備は持たずにNTTなど第1種事業者から回線を借りて不特定多数の利用者に電気通信サービスを提供する業者のこと。

一般第2種電気通信事業者 :
 上記2つ以外の電気通信事業者。

 電気通信主任技術者には第1種と第2種それから伝送という区分があります。
 第1種電気通信業を営む場合は、第1種の資格者が、第2種電気通信事業者には第2種の資格保持者が必要になってきます。
 これは、不特定多数の利用者に通信のサービスを提供するということは、停止したり不都合が起こったりする場合の影響力が大きいため、一定のレベル以上の技術を持った者に通信設備を管理させる必要があるという配慮からです。
 筆者が所有しているのは「第2種」の方ですからNTTのような第1種事業者では使えなくても、プロバイダなら役に立てることが出来るわけです。

 受験を始めたのはもう6年も前のことです。受験地は東京の早稲田大学。初めての時は、参考書すら買わず、ろくに勉強もせずに受けました。
 そうしたら4科目のうち1つだけ合格してしまったのです。

 試験には4科目あります。
 ・電気通信システム
 ・法規
 ・設備管理
 ・専門(データ通信システム、通信電力などから選択できる)

 合格したのは、専門でした。筆者は、仕事がらネットワークのことは少しは知っていましたらから、この科目だけは勉強せずとも回答できたのです。

 この試験はそれぞれの科目が難しいこともあるのでしょう、全部に合格しなくても合格した科目はそれ以降2年間持ち越しが出来るという制度があるのです。
 筆者はこれを利用しました。次に勉強したのが「法規」。こればかりは勉強しなければ知識がありませんから。
 半年後に受験したら、あまり力を入れて勉強してこなかった「設備管理」の方も合格していました。おそらくこれも仕事で普段やっていることが多数出題されているからでしょう。
 最後まで残ったのが「電気通信システム」でした。
 この教科は4この選択肢からひとつを選ぶ4択なのですが、筆者は通信工学をまともに勉強したことが無かったため、大変苦労しました。何しろ4回受けても受からなかったのですから。受験開始後2年目、ここで落ちると最初の合格科目「専門」が無効になると、背水の陣で望んだ試験でなんとか合格。
 合格証明が送られてきた時はさすがにうれしかったのを覚えています。
 
 筆者は、ネットワーク関係の仕事をしていますが、プロバイダーに居るわけではありません。よって、まだ実際にこの資格で仕事をしたことは無いのですが、職場でこの資格所有者は筆者一人だけ。さすがに難しさを知っている同僚や上司からは、がんばった奴と思われてますし、付き合いのあるネットワーク業者からも一目置かれています。
 
 実務に即した出題も多く、合格は容易ではありませんが、ネット系の企業を目指す学生の方々にはこの資格を取得されることをお勧めします。人事担当者が驚くこと間違いなしです。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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