サヴォア邸を見学!建築家ル・コルビュジエの世界へ
20世紀を代表するスイス人建築家ル・コルビュジエの作品は、パリ周辺にいくつか現存しています。中でもパリから電車で行ける
サヴォア邸(Villa Savoye)は、外観から内部まで、ル・コルビュジエ建築をトータルで見学出来る貴重な建物。建築ファンならずとも一度は訪れてほしい隠れた名所であり、彼の提唱する近代建築5原則を実現した貴重な作品です。建物は、屋上も合わせて3フロアを見学することができます。
郊外線RER・A線の終点ポワシー(Poissy)駅から徒歩20分ほどで、緑に囲まれたサヴォア邸に到着します。広い芝生の土地の上に建てられた真っ白な四角形の建物は、住宅という概念を覆されるほどインパクトのある風景です。
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玄関ホールには、円形の美しいガラス張りの窓から光が差し込む |
入口でまず目に入ってくるのは、この美しい円形のガラス窓。直線と、このような曲線の巧みな組み合わせも、ル・コルビュジエ建築の特徴です。地上階をこのように透明にすることで、建物がまるで空中に浮かんでいるように見せる効果を狙っています(近代建築の5原則:ピロティ)。
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白いタイルで統一されたキッチン |
真っ白なタイルの棚と壁で囲まれたキッチンは、どことなく学校の実験室を思わせる造り。奥の窓からは建物を囲んでいる緑が見え、このサヴォア邸が内部だけでなく外部の自然との調和を重んじているのがわかります。そして従来の壁や柱を必要最小限にとどめ、部屋と部屋の仕切りをできるだけ軽くし、自由な空間を実現しています(近代建築の5原則:自由な設計)。
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広々とした贅沢な空間のリビング |
奥の壁の優しいピンク色が印象的なリビングは、その贅沢な広さに圧倒されます。この階で同じ位置に配置されている横長の窓は、連続させることにより、光を入れ空間の透明度を高めるという効果がもたらされています(近代建築の5原則:横長の連続窓)。
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皮革を張った状態でできているル・コルビュジエデザインの椅子 |
広いリビングには、彼のデザインした椅子が配置されています。モダン・デザインの代表のような、洗練された椅子たちには自由に座る事ができます。一休みしながらその贅沢な空間を思う存分楽しんで下さい。
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快適な座り心地の一人がけ用ソファ |
こちらもル・コルビュジエデザインの一人がけ用ソファです。機能性とデザイン性がバランス良く両立しているのも、ル・コルビュジエ作品の特徴。あまりに快適で、このソファに座りながらウトウトしている人を見かけました。
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屋上庭園へと続くスロープ |
2階のリビングから外へ出ると、屋上へと進むスロープが。この広々とした屋外の空間は、「内側と外側との境界線を消す」というル・コルビュジエのコンセプトを体現しています。
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屋上のスペースには、植物を植え屋上庭園として活用 |
最上階の屋上テラスからは、街全体が見下ろせます。この平らな空間には、植物を植えるなどして庭園としての役割を与え、そこに生じる水平のラインにより建物が空にくっきりと浮き上がるという視覚効果があります(近代建築の5原則:屋上庭園)。
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曲線と色が印象的な浴室 |
2階の室内に戻りましょう。こちらは浴室とトイレ、洗面所が一緒になったバスルームです。天井からは光が入るようにデザインされ、やはり外界の自然との調和を意識しています。手前のグレーのスペースはデッキチェアのような長椅子になっており、彼のデザインした椅子と同じ構造になっています。
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地下から屋上までをつなぐらせん階段 |
地下から屋上までの4フロアにかけて続いているらせん階段は、最小限のスペースでコンパクトにデザインされており、無駄のない空間になっています。屋上へはこのらせん階段と、屋外のスロープの両方からアクセスできるようになっています。
パリ郊外のポワシー(Poissy)という小さな街にあるサヴォア邸へは、RERで行く事ができます。パリと違ってのどかな空気が流れるポワシー、遠足気分でわざわざ出かけてみる価値は十分にありますよ。
〈行き方〉
RER・A線Poissy行きに乗り、終点Poissyで下車。(乗車時間約30分)
駅から徒歩約15~20分。
Poissyの地図は
こちら→「PLAN YOUR ROUTE」をクリック
サヴォア邸(Villa Savoye)
住所:82, rue de Villiers 78300 Poissy(
Googleマップ)
電話:01 39 65 01 06
入場料:8ユーロ
開館時間:1月2日~4月30日 10:00~17:00、5月2日~8月31日10:00~18:00、9月1日~12月24日10.00-17.00
休館日:月曜日、5月1日、11月1日・11日、12月25日~1月1日
【参考サイト】
公式サイトでは、図面付きのパンフレットをダウンロードすることができる。画像はダウンロードした資料のキャプチャー
※ページの下の方の「DOCUMENT DE VISITE」で「日本語」を選択し、「TELECHARGER」(ダウンロード)をクリックするとダウンロードが開始される。
ル・コルビュジエ財団のサイト(英語・仏語)
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