ベースはブランデー、そして秘密の薬草
こちらはさらに大きい、高さ5メートルはありそうなバット(桶)。ワイン発酵用に使われる。ここでブランデーのベースになるワインが仕込まれ、さらに蒸留によってシャルトルーズのボディが出来上がる。 |
シャルトルーズそもそもの成り立ちは薬用酒であり、消化器の薬や食欲増進剤としての効用がある。がぶがぶ飲むのではなく食事と共にゆったりたしなみたいものだ。ベースになるのはブドウを発酵させてワインを作り、蒸留器(ポットスチル)で濃縮させて造られたブランデー。
樽に表示されたVはヴェール(緑)。55がアルコール度数。94は容量を表すヘクトリットル(9400リットル、うわ10トン近い!)。これはまだ若い方。 |
貯蔵所の一角には樽ではない、見上げるような大きさの桶が集められている。これはアルコール発酵させるための器。ブドウの実をつぶせば皮についた酵母が糖分を分解発酵してアルコールたっぷりのワインになる。シャルトルーズが生まれるまでの第一歩がここから始まる。この大きな工場の大部分はこの最初と最後の工程に占められている。
さて見学の仕上げはいよいよ門外不出の蒸留、ブレンド工程。意外と小さなこの棟の中にはぎっしりと機械道具が詰め込まれている。中はまさに錬金術のシステムをスケールアップしたかのようなスチルやタンク、タワーがパイプやホースでつながれている。物陰から黒い僧衣に包まれた人々がフードの奥から目を光らせて出てきそうな錯覚に襲われそうだ。