「グルメの国」フランスの、本場で食べたい絶品料理

フレンチ
フランス料理も気軽に楽しみたい© Paris Tourist Office - Photographe : Alain Potignon
海外旅行の大きな醍醐味、「食」。日本でも「グルメの国」との呼び声高いフランスですが、事実127%もの食料自給率(※日本は38%)を誇る農業国(カロリーベース、農林水産省資料)で、食文化のレベルの高さには「さすが」と認めざるを得ません。

日本ではあまり見かけない珍しい食材や季節ごとの旬の食材の種類も豊富。地方に行けば名物料理だってたくさんあります。この国では星付きレストランから町の小さなビストロまで、お店の種類も頂ける料理もその選択肢はまさに無限。例えば美術館の名画鑑賞と同じくらい多くの発見と感動があるフランス料理を是非、堪能して下さい。

<目次>

フランス料理とは?その特徴やコースの流れ

レストラン
フォーマルな食事といえばフランス料理© Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand
フランス料理は中華、トルコと並ぶ世界三大料理の一つとされており、世界中で高く評価され親しまれています。様々な国で、フォーマルな場での食事として選ばれることが多いのもフランス料理の特徴。

フランス料理の原型は、ルネッサンスの時代にイタリアから影響を受けながら形成され、宮廷料理として発展していったといわれています。前菜、メイン、デザートの構成が基本で、前菜はあまり重くなくすぐに食べられるもの、メインは肉や魚の料理と野菜などを使ったつけあわせが一緒に一つの皿に盛られ、その後デザートに甘いものが一皿ずつ順番に出されます。

より高級なお店のフルコースになると、突き出しのようなアミューズ・ブーシュ、前菜、スープが出され、メインは魚料理と肉料理がそれぞれサーブされ、チーズ、デザートと続き、最後は焼き菓子のプチフールとともにコーヒーで締めます。

逆に庶民的なお店では、メインだけで済ませることもあり、お店により出される料理の数も違います。

 

日本のフランス料理との違い

フレンチ
いつも新鮮な発見があり魅力が尽きない© Paris Tourist Office - Photographe : Marc Bertrand

日本にある外国料理は全体的にレベルが高い。特に日本のフレンチは洗練されていて、盛りつけも美しく、もちろん味も一定のレベルが保たれているといつも思います。

フランスでのフレンチで日本と違うところは、どのお店も非常に個性が強く、独創的だということ。同じ食材やメニューでも、お店により味はそれぞれ違い、好き嫌いも分かれます。いくら評判のよいお店でも常に評価は分かれる場合が多く、それだけお店に個性があるという証拠。

それから、こちらでは新しかったり珍しかったりする食材も積極的に取り入れます。最近ではパクチーや醤油などアジアの食材が使われることも多くなっています。ハズレの少ない日本のフレンチと比べ、いつも新鮮な驚きに出会えるのが本場で味わうフランス料理なのです。

フランス料理の流行

le comptoir

ビストロノミーの先駆者、ル・コントワール

ファッションに流行があるように、フランス料理にも流行り廃りがあります。それは、例えばシェフであったり、食材であったり、また地方であったり、盛り付けの方法であったり。あらゆる角度からの料理の流行があるのがフレンチです。

ひと昔前に「ビストロノミー」という言葉が登場し、ハイレベルな料理をカジュアルなビストロで食べるといったスタイルが非常に流行しました。また同時期にフランスの南西地方であるバスク料理も人気となり、バスク地方出身のシェフが注目され、「世界のベストレストラン」にランクインしたりと高い評価を受けました。

近年では、フランス料理ではあまり見られなかったバル形式のシェアスタイルがよく見られるようになっています。また、ミシュラン星付きのハイエンドなレストランでは、日本人シェフの活躍が目立っており、日本人としては嬉しい限りです。

地方ごとの特徴と代表的な料理

エスカルゴ
その土地の料理、思い切って試してみたい(写真はブルゴーニュ地方名物エスカルゴ)© Paris Tourist Office - Photographe : Amelie Dupont

農業国フランスでは、地方ごとに名産品や名物料理が多数存在し、地方色が非常に豊か。その土地の名物料理を食べることも土地を知るうえで大事ですよね。ここではフランス全土を、パリとその郊外であるフランスの中心イルドフランス、北東、南東、南西、北西の5つに分けて各地方の名物料理をご紹介します。

■イルドフランス地方
フザン
人気のジビエの一つ、雉(手前は豚の背肉のスライス)
パリのあるイルドフランスは、フランス全土の料理が集結する場所。一見地方色が薄い印象がありますが、実は土地柄森が多く、秋から冬にかけて狩猟が解禁されるジビエ料理が盛ん。ジビエは、狩猟で捕獲される野生動物の肉の総称で、代表的なものでは真鴨や雉、野兎や猪、鹿などがあります。飼育された家禽動物の肉とはまた違った野性味あふれる力強い風味が持ち味とされ、秋冬のフランスグルメとして人気。

 
■北東地方
ブルギニョン
ブルギニョン
上:アルザス地方の料理といえばシュークルート/下:ブルゴーニュワインで煮込まれた牛肉はまた格別
ワインで有名なブルゴーニュ地方やアルザス地方などがあることから、ワインを使った料理が楽しめる北東地方。キャベツの酢漬け、豚肉、ジャガイモを白ワインで煮込んだシュークルートは、ドイツ国境に近いアルザス地方の代表的な料理です。

ブルゴーニュ地方では牛の赤ワイン煮込みブフ・ブルギニョン、雄鶏の赤ワイン煮込みコック・オ・ヴァンが有名。そして忘れてはならないのが、ブルゴーニュ名物エスカルゴ。バターとパセリ、ニンニクで味付けされたものが定番です。「エスカルゴ=かたつむり」ですが、もちろん食用なので先入観を取り払って食べてみれば、貝より歯応えがあって美味しいということが発見できるでしょう。

 
■南東地方
シャルキュトリ
食の都リヨンでは、豚の詰め物類が美味しい
肉料理が盛んで星付きレストランも多く集まる食の都リヨンを中心とし、スイスに近いローヌ・アルプ地方、地中海料理が人気のコートダジュール・プロヴァンス地方など、バリエーション豊かな料理が楽しめる南東地方。

リヨンでは、豚肉の詰め物類(シャルキュトリ)やはんぺんのような食感の川魚のすり身クネルなどが有名です。山に囲まれたアルプス地方では、ジャガイモ、チーズ、ハム・ソーセージ類を鉄板で一緒に焼いたラクレットが名物料理。これが材料の素朴さにしては意外にも(!?)美味。

地中海に接する南のコードダジュール・プロヴァンス地方では、オリーブオイルを使ったフレッシュな料理が豊富。オリーブ、ツナ、アンチョビ、卵がトッピングされたニース風サラダ、マルセイユで味わえる魚介のスープブイヤベースなどは国外でも親しまれている代表的な地中海料理です。地元の人に人気なのが、干ダラ、オリーブオイル、牛乳を混ぜてペースト状にしたブランダード。干ダラの塩が程よく効いていて、ちょっとしたおつまみとしてもよく食べられています。

 

■南西地方
フォアグラ
フォアグラは、濃厚でクリーミーな味わい
高級食材の名産地でもあり、クセの強い、でも一度知ったらやみつきになる料理が多いのが南西地方の特徴。香り高いキノコ類の一種であり、「黒いダイヤ」とも呼ばれるトリュフ、ガチョウや鴨の肝臓を人工的に肥大させて作られるフォアグラと、世界三大珍味のうちの二つの名産地となっています。

フォアグラはその飼育方法が「強制給飼」といういささか残酷な方法のため、フランス以外の国では法律で生産を禁止するという動きがあります。そのため流通するほとんどのフォアグラがフランス生まれ。世界に誇る貴重なフランス食材です。内蔵とは思えない臭みのない濃厚でクリーミーな味わいとなめらかな食感は感動さえ覚えるほど。フランスに来たら是非とも食べて頂きたい食材の一つ。

そして白インゲン豆を羊などの肉類と一緒に鍋で煮込んだカスレもこの地方の名物料理。豆が熱とともに崩れ、半分ペースト状態になって肉の旨味と絡み合うと独特の風味が。好きな人と嫌いな人が分かれるのもこの料理の特徴です。

南のスペイン国境近くに位置するバスク地方では、赤ピーマン、ニンニク、トマトを煮て唐辛子で味付けしたピペラードが有名。シンプルにパンにのせて食べたり、オムレツやタルトの具にしたりと、様々な方法で味わうことができます。その他大西洋岸では、牡蠣の養殖も盛んです。

■北西地方
クレープ
そば粉のクレープ、ガレットにはシードル(りんごの発泡酒)を
大西洋北部に接していることから魚介類が豊富に揃い、なおかつ小麦粉や塩、バターやチーズなどの乳製品を用いた料理が発達していった北西地方。

中でも最西端に位置するブルターニュ地方では何といってもそば粉を使ったクレープ、ガレットと、それに合うりんごの発砲酒シードルがお手軽グルメとして親しまれています。その他、潮が引いた後の草原の草を食べて育つプレサレと呼ばれる羊は、肉に塩が自然にしみ込んでいて、非常に味わい深いブルターニュ名物。

一方で北のノルマンティー地方では、カマンベールチーズでも知られているとおり、乳製品が盛ん。バターや牛乳を使ったソース、煮込み料理が多いのも特徴。特にオージュ谷でとれるりんごのお酒を加えたクリームソースは鶏や子牛のソースとして使われ、鶏もしくは子牛のオージュ谷風としてノルマンディー地方の代表的な料理になっています。

季節ごとの特徴と代表的な料理

フランス料理では、季節の旬の食材を使うことも多く、野菜類、肉・魚介類の中には、時期を選べば非常に美味しく食べられるものがあります。旬の食材を食べることは、季節感も楽しめるうえに、体にも非常によいこと。では、それぞれの季節で特に美味しく食べられるものをご紹介していきましょう。

■春
子羊
子羊は肉がやわらかくなる春に味わいたい
春はアスパラガス、インゲン、そら豆など緑色系の野菜が美味しくなる季節で、前菜や料理のつけあわせにも野菜を豊富に使ったヘルシーなものが多く登場します。特にホワイトアスパラガスは代表的な春の食材で、酢と塩でシンプルに味つけされたマリネ風だったり、クリームと合わせて煮込んだグラタン風であったりとバリエーションも豊か。

子牛や子羊もこの頃は肉がやわらかくなり、あっさりとした繊細な味わいを楽しむことができます。子羊はグリルにしローズマリーをふりかけるのが定番。ハーブの香りとジューシーな肉の味わいが非常にマッチします。

 

■夏
マグロ
夏野菜とともに味わうマグロのソテー
夏野菜が美味しくなるこの時期は、ズッキーニやなすをトマト、玉ねぎ、にんにくとともに煮込んでつくるラタトゥイユが、夏の代表的な料理。同じく夏が旬のスズキやマグロのソテーなどシンプルな料理のつけあわせとしてもよく登場します。スズキやマグロは、もちろん生でも美味しく食べられます。マグロは細かくたたきにしたり、スズキは薄切りのカルパッチョにしたりと、暑い夏に食べたいフレッシュな料理です。

 

■秋から冬
うさぎ
兎も、秋から冬にかけてが美味しい
秋から冬にかけては、期間限定のフランス料理が味わえます。中でも9月末ごろ狩猟が解禁されると野生動物の肉であるジビエが世に出回ります。ジビエは飼育された家禽動物の肉と比べ独特の風味があることから、じっくりとローストしたり、ワインや野菜とともに煮込む料理で出てくることが多いです。餌が少なくなってくる1月の手前までが一番美味しいといわれているので、ジビエが目当てなら、年内までに滑り込みましょう。

ジビエではありませんが、兎も肉がやわらかくなり風味が増して美味しくなります。やはり煮込みが定番で、赤ワイン、野菜、ジャガイモとともにじっくりと煮込まれ、鶏に近い淡白な肉質からほんのりと甘さが感じられます。

カキ
フランスの牡蠣は生が美味しい
魚介の秋冬グルメは何といっても生牡蠣。海の潮と旨味を蓄えたこの季節の牡蠣は、エシャロットとワインビネガー、レモン汁を加え、冷えた白ワインとともに頂くのがお約束。牡蠣は「r」のつく月、つまり9月から4月までが食べ頃といわれています。

 

本場で食べたい王道料理ベスト5

マグレ
マグレ・ド・カナール(鴨の胸肉)のステーキ

「これぞフランス料理!」といった定番の料理は、世界中でも既に広く知られていて、かつ時期や場所を選ばずフランスのどこででも食べられるいわばフランス料理の顔です。だからこそ、やはり本場で本物を食べたいところ。王道定番料理ベスト5をご紹介します。

■コンフィ・ド・カナール(鴨のコンフィ)/マグレ・ド・カナール(鴨の胸肉)などの鴨肉料理
コンフィ
鴨のコンフィは細やかな肉質と塩味が特徴
鴨料理はもはやフランス料理の定番中の定番。鴨のコンフィは、鴨肉を油浸けしたもので、鶏肉よりも繊維が細くほぐれるような食感と肉にしみこんだ塩味が絶品です。

鴨の胸肉は赤ワインやオレンジのソースを添えてステーキとして出される場合が多く、じわりと溶けるような脂と肉がとてもジューシー。焼き方はロゼ(レア)、アポワン(ミディアム)、ビアンキュイ(ウェルダン)と選べますが、おすすめはアポワン。鴨の旨味と柔らかさが丁度よいバランスで頂けます。メインとして出されるほかにも、塩をしみこませてスモークしたスライスが前菜のサラダの具として使われることも多いです。

 

■プレ・ロティ(鶏のロースト)
ロースト
お手軽フレンチの代表、鶏のローストはボリュームたっぷり
フランスでは肉屋の軒先で、ストーブのようなものの前でぐるぐると回って丸ごと焼かれている鶏のロースト。じっくりと時間をかけて焼かれた鶏は、外はカリッと、中はあっさりとした肉質で、クセがなく万人に好かれる定番メニュー。定食屋や学食などで出されることが多く、量もたっぷりあるのでとにかくおなかいっぱい食べたいという時にはもってこいの料理です。

 
■ステック(牛のステーキ)
steak

フランスの代表的な料理、ステック

やはりフランス料理に欠かせないのが牛肉。シンプルに焼いただけというステーキはいつどこででも食べられますが、それだけに店により善し悪しが分かれる非常に面白い料理でもあります。牛ステーキでそのお店の評価を決めるという料理評論家もいるくらいです。

ステックは牛ステーキの総称。牛肉はその部位でメニューに書かれることが多いので、牛肉(フランス語でブフ)という表記がない場合がほとんどです。主なものでは、オントルコット(ロース)、フォー・フィレ(サーロイン)、フィレ、更にフィレの中でも少ししかとれないという最高級の部位シャトーブリアンなど。やはり焼き方はアポワン(ミディアム)がおすすめ。外側でしっかり焼いて旨味を閉じ込め、内側は柔らかくジューシーな状態がベストです。

 

■ポー・ソテ(豚のソテー)
ソテー
シンプルな素材はどんなソースにも合う
とあるフランス在住日本の著名人が「フランスは豚肉が美味しい」と言っていたそう。確かにあまりクセがなく、でもソフトな食感がある豚肉は、どんな食材とも相性が良く、調理方法も非常にバリエーションに富んでいます。

中でも豚肉料理の定番は、ソテー。バターやオリーブオイルと一緒にフライパンで炒め、ハーブやスパイス、ワイン、牛乳を使った多彩なソースで味付けされたり、バルサミコ酢や塩こしょうなどでシンプルに仕上げられる場合も。ハズレがないことが多いので、ガイドはいつも迷ったら豚、にしています。

 

■フィレ・ド・バー(スズキの切身)
スズキ
フレンチの魚料理といえばスズキ
肉料理が充実しているあまり、魚料理は影に隠れてしまいがちなフランス料理ですが、魚料理だって負けてません。フランス料理の中で一番出番が多く人気の高い魚がスズキ。軽く炒めたソテーや、網焼きしたグリルなど素材の味を活かしたシンプルな調理方法が定番。ナイフを入れた途端にほろほろと崩れて行く柔らかい身とほんのり効いている塩味が特徴で、その繊細な味わいはまさに魚料理の王道といえそうです。

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