防犯/防犯関連情報

好意が脅威に変わるとき…社交辞令のリスク(3ページ目)

仕事のできる会社員・利之が打ち合わで会った相手・瑠璃子。いつものように社交辞令を言ったところ、思いがけない展開に。口は災いの元だと気づいたときは遅く……。口がうまい人はトラブルに注意しましょう。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

誤解に曲解

電話にパニック
電話にパニック
「はあ? いや、その誤解されるのは困るんですが。私は仕事が決まれば、打ち上げで飲みに行こうとはお誘いしましたが。当然、当社からも部署のスタッフも行きますし、そちらでも会社の人何人かおいでいただいてという仕事の場での飲み会ということでお話したんですよ」
「あら、それとロマンチックというのは違いますでしょ? 私とだけ飲みたいとおっしゃったじゃないですか」
「いえ、北条さんのような美人とだったら酒もうまいだろうなとは言いましたが」

利之はだんだん混乱してきた。どうも話が一方的過ぎる。思い込みが激しいようだ。だが、どう言っても話が通じない。まるで異星人とでも会話しているようだった。
「ですから、もし今後、仕事でご一緒することがあればですね、打ち上げの際にはスタッフ全員で飲みに行くことはあると思うんですよ。あくまでも打ち上げですから」
「でも、飯田さん、私のことを誘ったじゃないですか」
「いえ。そうは申しておりません。あくまでも通常の打ち上げのことを」

「では、ロマンチックだの私と飲みたいだのというのは嘘でしたの? 私とお酒を飲めるように努力するっておっしゃったじゃないですか」
「ですから、それは仕事がうまく行くようにというつもりで」
「仕事のことだけを考えてあんなことをおっしゃったの? 私のことを誘っておいて仕事はダメになったから無視するってことですの?」
「いや、誘うも何も。それは仕事でのことで」
「それじゃ、セクハラかパワハラじゃないですか!」

利之はギョッとした。あまりにもエキセントリックな物言いにも恐れをなしていた。言いがかりではないかと思った。

「私のことを美人と言ったり、お酒やカラオケを誘ったり。ロマンチックがどうのとか。それで仕事の話ということなら、完全にセクハラですわよね? パワハラでもありますでしょ」
「いや、ですから、そんなつもりはまったくなくてですね」
「ひどいお話ですのね。私が女だから、とバカにしてるんですか」
「と、とんでもないです」

利之はパニックになっていた。同じ言葉を話しているとは思えなかった。誤解に曲解で、苦手な英語よりもっとワケが分からなかった。

「飯田さんが独身だからまだ救いはありますけど」
「は? いえ、私は結婚しておりますが」
「んまっ……。じゃあ、奥様がありながら、私を誘ったんですか? ヒドイっ! 信じられない」
「いやでも、いちいち私は結婚してますなんて言いませんよ」
「独身だと思わせておいて、お酒を誘ったというのは詐欺じゃないですか?」
「……!」

利之は言葉を失っていた。ああ言えばこう言うで、話がまったく噛み合わない。

「あのう、誤解をされたのでしたら謝りますが、私は結婚指輪はいつもしてないんです」
「持ってるのにしていないのは下心があるってことじゃないですか」
「そんな……」
「仕事でこんな目に遭うなんて信じられませんわ。どうせ、今回の仕事も私をわざと落としたんでしょ」
「いや、会社の会議で決まったことですから」
「なんにしても、私、許せませんわ。飯田さんの失礼で不愉快な対応は当社と私自身への侮辱です。それなりに対応させていただきますからねっ!」
「あう……」

→意趣返し
→→口は災いの元/あなたの一票/関連ガイド記事
  • 前のページへ
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • 次のページへ

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます