「返金します」の不審電話
「返金します」の電話 |
ガス会社のHPによると、
「今年の初めに、昨年の支払い分の状況を書類で送ったので確認いただいていると思うが、ガス料金の返金が発生している。お客さまの口座に入金したいので、口座番号や生年月日を教えて欲しい」
と、ガス会社の営業所職員を名乗る男から、電話があったといいます。電話を受けた多くの人は、不審に思い、途中で電話を切ったようです。しかし、中には、口座番号を教えてしまった人、生年月日まで教えてしまった人も少数いるようです。「確認のために電話番号を」とたずねると、知らされた番号はまったく関係のないお宅にかかるということです。
お金を振り込ませようとする「振り込め詐欺」には警戒しても、「お金を返します」という内容に、つい油断してしまう人もいるかもしれません。これは明らかに、口座番号や生年月日等の個人情報をを聞き出そうとする悪質な不審電話です。
1月29日までに、ガス会社には28件の問い合わせがあり、うち口座番号を教えてしまったケースは5件、さらに生年月日まで教えてしまったケースは2件あるとのことです。現時点では、口座から預金が引き出されたなどの被害は発生していません。ただし、これはあくまでも問い合わせがあった件数であり、個人情報を伝えてしまったにも関わらず、不審に思うことすらなければ、届け出などはしないでしょう。つまり、確認できない件数がどれだけあるかは分からないのです。
電話一本の危険
そもそも電話一本で、個人情報を聞き出そうとすること自体が不審です。今回のケースでは、「ガス料金の一部を返金する」と言っていますが、もし実際に返金すべき事態であったとしても、電話ではなく、明細を書いた書類をまず送ってくるはずです。相手がそう名乗っているだけの電話を、鵜呑みにして信用してしまうのは大変危険です。よく考えてみれば、よほど工事などで連絡を取り合っているなどの特殊な事態でない限り、ガス会社からの電話など日常的にはないものです。ガス会社だけでなく、その他の光熱関係、電気会社や水道局などからも、電話がかかってきたことがある、ということはほとんどないのではないでしょうか?
通常、事前のお知らせの用紙が届いてから、指定の時間に来訪することはあっても、「返金する」といった本来書類が絶対に必要な事態で、電話だけで処理するなどということはあり得ないはずです。つまり、突然、こうした機関の職員を名乗って電話をかけてきただけで、すでに不審だと気づき、警戒すべきなのです。