連載第2回「ミセスの危機管理ナビ~男の周辺の疑惑」
連載第3回「ミセスの危機管理ナビ~女の周辺の疑惑」
を先にご覧ください。【全4回】
《前回までのあらすじ》詩織の個人的な周辺の疑惑は思い当たらなかった。そこで4人で相談してフリーメールアドレスを作り、脅迫者にメールを送ることにした。
メール文作成
麻季子と春彦、北村と詩織との4人で結局、次のような文面にした。「あなたの行為は罪に問われ、罰せられる恐れがあります。
IPアドレスほか当方が把握している情報により、
場合によっては、当該機関の協力を得て、
追及することも辞さないことをご理解ください。
もし、謝罪の意思があるのであれば、
下記期日に指定の場所にお越しください。
期日:平成19年○月○日(日)午後3時
場所:○×駅前 喫茶店△△△△
目印にノートパソコンか携帯電話と何か週刊誌をテーブルの上に置いてください」
文面は春彦がほとんど考えた。誰からとも書かないし、メール脅迫者が何をしたかについても詳しくは書いていない。IPアドレスについて麻季子がたずねると、北村が説明した。
メール、IPアドレス |
「詳しい人ならどうか分からないけど、普通の人ならちょっとビビるかも」
「知り合いが自分でやっているホームページに嫌がらせのメールが来たんですよ。で、その人は“アクセス解析”が出来るようにしてあって、それによって「REMOTE_HOST」が分かり、「HOSTNAME」からIPアドレスが分かるようになっているんで、嫌がらせのメール相手に、『そちらのIPアドレスまで把握しているぞ、嫌がらせはやめろ』って実際にIPアドレスを書いてメールしたらしいんです。そしたら、相手はビビって『すみませんでした』と謝ってきたそうです」
「うーん、現実に住所を知られたら怖いと思うのと同じくらいに怖いのかしらね。おまけに“当該機関”ってのは、警察とは書いてないけど、警察かなという雰囲気はあるわ」
「それに“当方”ってことで、少なくとも私だけというよりは会社や複数の人が知っているという感じがします」
「実際に我々が知っているわけだし。相手が脅迫メールを寄越したことは事実で、身に覚えがあるんだから。ちょっとビビらせてもいいだろう。ハハハ」
「これなら、誰が書いて出したのか分からない感じですよね」
「まあ、送信してみなければこのメールが届くかどうかも分からないからな。届けばビビって考えるだろうし、届かなければ済んだと考えてもいいんじゃないか。まあ、誰か気になるってことは残るけど」
「あー、でも、私としてはこうして色々とご相談に乗っていただいただけでもかなり気が楽になりました。一人じゃ怖かったけど。それにこうしてやり返せるっていうか、方法もあるんだって分かりましたから。よかったです」
詩織がホッとした様子でそう言って北村の顔を見てニッコリとした。北村が軽くうなずいてから麻季子と春彦を見て言った。
「では、送信してみましょうか」
「待って。その前によく考えましょう。私、返信したら、なんて言っちゃったけど、後のことを考えたらよくないかもって思い出して」
「え?」
ほかの3人が麻季子のほうに顔を向けた。