を先にご覧ください。【全4回】
《前回までのあらすじ》麻季子の高校時代からの親友・泉は離婚歴のある独身美女。麻季子の心配をよそに、自由に生きる泉は「出会い系サイト」で出会った男と付き合っているという。危険に気づいていないかのような泉に麻季子は不安を感じる。
泉の危険な出会いに不安を覚える麻季子。泉からかかってきた電話は、やはり相手の男が信用できないとしか思えない内容だった。夫の春彦とは出会い系サイトについて語り合う。
男の要求
泉からの電話 |
「ねえ、マッキー。ちょっと相談なんだけど」
「どしたの?」
「年下の例の彼がね、リョウ君っていうんだけど。ゲームの会社を立ち上げるっていうのよ。それで、私に出資しないかって言うの。なんか友だちと開発したソフトが絶対にイケルはずだから、会社を興して本格的にやるんだって」
「で、あなたにお金を出せって言うの?」
「出せとは言ってないけど、まあ、私にも出資者になってほしいって」
頭もよく仕事も出来るなのに、なぜそんな話に乗ろうとするのか、麻季子にはまったく理解ができなかった。
「彼ねぇ、すごく真剣なのよ」
「あなたからお金を引き出そうと真剣なんでしょ? だいたいそのリョウ君だかなんだか知らないけど、彼の素性は分かっているわけ? どこまで知っているのよ。名前、住所、自宅の電話番号とか勤務先とか」
「うん。一応、S区に住んでるって。でもなんか、今は友だちと一緒だからって、ハッキリは教えてもらってない。会社はM区にある、らしい」
「ちょっとぉ。ねえ、つまりそれって、何も知らないってことじゃない? 携帯電話だけじゃ、解約されたらそれまでじゃない。フルネームは? 免許証とか見せてもらったの?」
「ううん。でもだから、そのへんのことはこれから正直にやってみようかと」
「互いに正直になっていないうちに、あなたからお金を出させようとする男をイズミーは信じられるわけ?」
会社を興す? |
「友だちに会ったからって信じる理由にならないでしょ。だいたい、なんであなたがお金を持ってるってリョウ君は思ったの? もしかして、いつもお金を出してるとか?」
「それは。まあ、だいたい私のほうが出してるかなぁ」
「で、次は大金を引き出そうってわけね。出資しろって、いくら?」
「100万円」
麻季子は絶句した。
「ちょっと~。何なのそれ? 泉は独身で、働いているから貯金はそれなりにあるでしょうけど。普通は身内にだってなかなか出せないよ」
「ホントは300万くらい出して欲しいらしいけど、後は自分で何とかするからって。まあ、さすがに300万となるとアレだけど、100万くらいなら」
「いったいなんであなたに出資してなんていう話になったわけ」
「絶対に儲かる話だから、私にも乗って欲しいって」
「あのねえ、絶対に儲かる話なんてないってことぐらい、泉もよく知ってるでしょ?」