防犯/防犯小説

ミセスの危機管理ナビ~男と女の間のウソ

【連載第2回】泉の危険な出会いに不安を覚える麻季子。泉からかかってきた電話は、やはり相手の男が信用できないとしか思えない内容だった。夫の春彦とは出会い系サイトについて語り合う。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

連載第1回「ミセスの危機管理ナビ~独身美女の仕事と男」
を先にご覧ください。【全4回】

《前回までのあらすじ》麻季子の高校時代からの親友・泉は離婚歴のある独身美女。麻季子の心配をよそに、自由に生きる泉は「出会い系サイト」で出会った男と付き合っているという。危険に気づいていないかのような泉に麻季子は不安を感じる。

泉の危険な出会いに不安を覚える麻季子。泉からかかってきた電話は、やはり相手の男が信用できないとしか思えない内容だった。夫の春彦とは出会い系サイトについて語り合う。

男の要求

泉からの電話
泉からの電話
前回の電話から一週間ばかり過ぎた頃に、またしても泉から電話がかかってきた。ちょうど夕食の後片付けをし終えたところで、タイミングがよかった。というより、泉は麻季子の手が空く時間を分かっているのだった。

「ねえ、マッキー。ちょっと相談なんだけど」
「どしたの?」
「年下の例の彼がね、リョウ君っていうんだけど。ゲームの会社を立ち上げるっていうのよ。それで、私に出資しないかって言うの。なんか友だちと開発したソフトが絶対にイケルはずだから、会社を興して本格的にやるんだって」
「で、あなたにお金を出せって言うの?」
「出せとは言ってないけど、まあ、私にも出資者になってほしいって」

頭もよく仕事も出来るなのに、なぜそんな話に乗ろうとするのか、麻季子にはまったく理解ができなかった。

「彼ねぇ、すごく真剣なのよ」
「あなたからお金を引き出そうと真剣なんでしょ? だいたいそのリョウ君だかなんだか知らないけど、彼の素性は分かっているわけ? どこまで知っているのよ。名前、住所、自宅の電話番号とか勤務先とか」
「うん。一応、S区に住んでるって。でもなんか、今は友だちと一緒だからって、ハッキリは教えてもらってない。会社はM区にある、らしい」

「ちょっとぉ。ねえ、つまりそれって、何も知らないってことじゃない? 携帯電話だけじゃ、解約されたらそれまでじゃない。フルネームは? 免許証とか見せてもらったの?」
「ううん。でもだから、そのへんのことはこれから正直にやってみようかと」
「互いに正直になっていないうちに、あなたからお金を出させようとする男をイズミーは信じられるわけ?」

会社を興す?
会社を興す?
「あ、だから、その一緒に会社をやるって友だちと今度会うの」
「友だちに会ったからって信じる理由にならないでしょ。だいたい、なんであなたがお金を持ってるってリョウ君は思ったの? もしかして、いつもお金を出してるとか?」
「それは。まあ、だいたい私のほうが出してるかなぁ」
「で、次は大金を引き出そうってわけね。出資しろって、いくら?」
「100万円」

麻季子は絶句した。

「ちょっと~。何なのそれ? 泉は独身で、働いているから貯金はそれなりにあるでしょうけど。普通は身内にだってなかなか出せないよ」
「ホントは300万くらい出して欲しいらしいけど、後は自分で何とかするからって。まあ、さすがに300万となるとアレだけど、100万くらいなら」
「いったいなんであなたに出資してなんていう話になったわけ」
「絶対に儲かる話だから、私にも乗って欲しいって」
「あのねえ、絶対に儲かる話なんてないってことぐらい、泉もよく知ってるでしょ?」

  • →だまされてもいい?……p.2
  • →→「出会い系サイト」絡みの事件………p.3
  • →→→男も女も、○○師?/あなたの一票/関連防犯ガイド記事……p.4
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