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アリバイ作りは可能?
日本音響研究所の最強システムと鈴木松美所長 |
これはねー、実は私も一度引っかかったことがあるんですよ。知人が「今、成田空港にいる」と電話を寄越したんです。で、「どこに行くんだ」とか話していたら、実は成田空港のアナウンスを録音したテープを流していたんですよ。すっかり騙されてしまいました(笑)。
――えー? 先生でも騙されてしまうということは、アリバイ工作は可能というか、有効なんですね?
非常に有効なんです。ただし、電話だから有効なんです。これをたとえばカセットテープに録音したアリバイの音をバックに流して、マイクロフォンで話したとしたらこれはバレます。電話だから騙されるんです。電話というのは、ある周波数帯の音しか通さない。とらえる音の幅が小さいので本物か偽物か分からない。ですから、親子兄弟を間違えるのは電話が多い。本人たちに会ってみると、それほど似ていない。電話だから間違えるんです。ということで、「アリバイ音」というのは、非常に効果的ですよ。
――では、たとえば誰かが駅とかパチンコ店で録音してきた音を、電話をかけるときにそばで出して、本当は愛人と一緒にいるんだけど、「今、駅にいる」「パチンコしてる」とかって言ったらバレないですか?
それはバレるでしょう。私が持っているような録音機やスピーカーだったら大丈夫でしょうが。録音機はそれほど今は悪い物はないですから、スピーカーによります。あなたのこの小さな録音機(ガイドのマイクロカセットコーダーを指して)のこんな小さいスピーカーでは雰囲気が出ないんです。うちのああいう大きなスピーカーで流したらわからないでしょう。大きいほどいいのですが、そうですね、ラジカセでもいいと思います。その程度の大きさのスピーカーでも十分でしょう。あれだったらまず分からないでしょうね。
――そうなんですか。では、やろうと思ったら誰でも簡単にアリバイ工作ができるということですね?
できます。たとえばスナックとかで有線で「アリバイチャンネル」を使ったらこれはバレません。ああいう店ではいいスピーカーを使っていますから。
――よく男性には、オーディオが趣味だという人がいますが、そういう人がやったらそれは…
ああ、もう全然分からないですよ。
――ではもし、そういう人がアリバイの電話をかけてきたとして、運良くそれを録音できた場合、それが嘘のアリバイかどうかということはお分かりになりますか?
分かる場合と分からない場合があります。
――えー? ではよほど精巧なオーディオシステムだったら欺くことはできるということですか。