防犯/防犯小説

パートの仕事を休んででかけた先は… 人妻が落ちた真昼の奈落?第3回(2ページ目)

万引きを見られた女性に勧められた禁断の仕事。パートの仕事を休んで出向いた先は、とある駅の近くのマンションだった。その日、別の女性の代わりに客の相手をしたことから…

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

初 仕 事

秘密の仕事…
秘密の仕事…
「システムを説明するわね。ようするにあなたが個室を借りて営業するということ。お客さんがついたらそこで営業して、料金は折半する。ということ。2万5千円から3万円だから、あなたの取り分は12,500円から15,000円。場所代とその他諸経費をこちらがいただく。もしチップをもらったら、それはあなたのものでいいの。ビールとかの飲み物は実費でお客様が払う。時間は一応60分ね。延長はほとんどないはず。主婦だから家に帰らなくちゃとか言えばお客さんもわかるから。

よくね、手配だけしてホテルを利用する場合もあるけど、それじゃ何が起きるかわからないから。ここなら安心でしょ」そういうものだろうか…? その他、あれこれと備品の説明を受けたりした。そうこうしているうちに、一人の女性が入ってきた。「あぁ、お疲れさま」「どうもー。あら、こちら新しい人?」「まぁね。ちょっと話をしてあげてよ」「いいわよ」

さばさばとした雰囲気のその女性は奈美恵と同じくらいの年齢に見えた。「あなた、お子さんは?」いきなり聞かれてとまどったが、「あ、男の子と女の子と一人ずつ」と答えると、「あら、いいわね。ウチは男の子が一人なの。私と同じくらいの年かしら。私は33才だけど」「私は36才なんですよ」「へぇ、若く見えるわね。こういう仕事初めて?」「そうなんです」「そうか。じゃあ、ちょっと緊張してる?」「ええ」「大丈夫よ。主婦らしい気配りと子どもを扱うような母親のような気持ちで接してあげれば」「はぁ…」

その桜子という女性は話し好きで色々と教えてくれた。暗さはまったくなかった。夫がやはり単身赴任で時間ができたことと家のローンもあるため、この仕事を始めて一年ほどになるという。「まぁ割り切ってやればどうってことないわよ。別に誰にも知られなければいいし。他にこれだけの収入が得られる仕事なんてないしね。でも、やっぱり気になる?」と笑いかけられて奈美恵は返答に困った。「大丈夫よぉ~。誰だって初めてのときは緊張するけど、一度やっちゃえばどうってことないって」

宮下の携帯電話が鳴り、応答していた。「桜子さん、いつもの竹内さんだけど。入れる?」「あ、ゴメン。私、今日はダメなの。これで帰らないと。美恵子さんにいいんじゃない?」「そうね。じゃあ、美恵子さん、お願いできるかしら?」宮下と桜子の二人に見つめられて奈美恵は顔をこわばらせた。「大丈夫よ。竹内さんってやさしい人なの。ヘンなこともしないし。初めての人にはピッタリよ。常連で無理は言わないし、きっとご祝儀もくれるわよ」「そう。竹内さんっていいお客さんなのよ。初めてですって言えば、大丈夫よ」

二人に代わる代わる言われて、「はぁ。それじゃ…」と、奈美恵は頷いていた。シャワー室の使い方を教えてもらい、タオルやバスローブなどを手渡されて、気がつくと一人で個室にたたずんでいた。ほどなく、ドアがノックされた。「じゃ、美恵子さん、お願いね」宮下がそう言って男性を一人部屋に案内した。「どうも」「あ、どうも」「キミ、初めてなんだって?」「え、えぇ」「そうか。今日はツイてるな。あ、楽にしていいよ。別にボクは恐い人じゃないから」そう言いながら、テキパキと服を脱ぎだした。どうしていいかわからなかったが、当たり前のように上着を受け取りハンガーにかけ、桜子に聞いた通りにしてみた。

「やっぱり家庭の主婦ってのはいいよね。そういう段取りが自然にできるから。今どきの若い子なんて気配りなんてできないからね。だからボクは人妻が好きなんだ」バスローブに着替えると勝手知ったるなんとやらでさっさとシャワー室に行き、直に戻ってきた。「大丈夫だよ。そんなに緊張しないで。ビールでも飲もうか」「あ、はい」小型冷蔵庫からビールを出し、グラスを二つ用意した。「じゃ、キミの初仕事に乾杯」「どうも…」ありがとうございますと言うべきなのか迷ったが、言葉が出なかった。「恐がらないで。リラックス、リラックス」そう言いながら、竹内は奈美恵のローブに手をかけてきた……。



3p.報  酬

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