防犯/防犯小説

見られてしまった“万引き”が思わぬ方向に… 人妻が落ちた真昼の奈落?第2回(2ページ目)

単身赴任中の夫が帰宅しないことになった日、奈美恵は口紅を万引きしてしまった。それを見ていた女性に声をかけられて、後悔していた。だが、連れて行かれた先で話は思わぬ方向に発展していく。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

いい仕事?

いい仕事とは…?
いい仕事とは…?
「スーパーだと時給はせいぜい千円いくかいかないかでしょう? もっといい仕事があるのよ。時給に換算すれば、5千円以上になるんだけど」
「え? でもそんな仕事あるんですか? 私、特殊技能もないただの主婦なんですけど」
「それがいいのよ。普通の主婦がいいの。奥さん、いくつ?」
「36歳です」
「あらぁ、若く見えるわねぇ。ちょうどいいわよ。いいお年頃」
「?」
「あのね、1日で1万5千円から3万円くらいになるのよ。いつでも好きなときに働けばいいし、今の仕事をやめないでもできると思うのよ」
「それはいったいどういうお仕事…」

そんな都合のいい仕事なんてあるはずがないと思いながら、条件の良さに興味が湧いていた。

「あのね、みんな普通の奥さんなの。それでも、中には月に100万円くらい稼ぐ人もいるのよ」
「100万円!?」
「そう。でも、ほら家庭がある主婦ばかりだからね。一日に4時間か5時間。長くて6~7時間。それでも週3日ほどで10万円近くになるの。少なくとも月30万円は固いわよ。週に二日でもいい。それでも月20万円以上になるかな」

悪質商法か、何か危険な仕事なのだろうか? 一日の拘束時間も今と変わりはない。しかも、週に2日でも3日でもいいという。ふと、今のパートの仕事を減らしてもらってできれば…と考えてみた。だが、いったい何の仕事なのか?

「なんだか、お話を聞いているとすごく条件がいいみたいなんですけど、仕事の内容はどんな…」

女性は身をかがめて奈美恵のほうに顔を寄せた。つられて奈美恵も耳を近づけた。

「男の人のお相手をするのよ」
「!」

驚いて身を引いた奈美恵に二ヤリと笑いかけると、

「そう。あなたが今、思った通りの仕事よ」

と言って、奈美恵の目をのぞき込んで続けた。

「あのね、絶対に安全なの。お客様は会員制で身元の確かな人しかいないし、お仲間はみんな主婦だから。場所は普通のマンションだし、表向きは会社になっているの。ウチはもう長くやっているけど、一度も問題になっていないのよ」
「でも、それって、法律違反では…」
「関係ないわよ。何をやっているか誰にもわからなければ、法律なんて関係ないじゃない」
「いや、でも私にはとてもそんなこと…」



3p.需要と供給
4p.迷 い

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