防犯/防犯小説

【最終回】テレクラの甘い罠~ヤツらの最後(2ページ目)

K介は「美人局」の被害に遭い、妻に覚られて告白するが妻の理解のもと、警察に届け出をした。その後、別の事件が起きて犯人が捕まることに…。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

ヤツらの手口
現金はその場では奪わなかった。とはいえ、ナカニシは男性に詰め寄りながら、興奮した様子で男性のクビを両手で締め付け、軽いケガを負わせた。それまでのK介を始めとして数人の男性に同様の手口で「美人局」を働いていたが、警察に逮捕されることがなかったので、より強烈な言葉を浴びせるようになっていたのだった。

このとき被害に遭った41歳の男性はすぐに警察署に駆け込み、届け出をした。クレジットカードはカード会社に紛失の届け出をしてそのカードは使えないようにしたが、銀行のキャッシュカードは、コンビニかどこかのATMを利用されたようで、すでにほぼ全額、引き落とされていた。

その後、3人の男のうち一人が駅前の大手小売店でクレジットカードを使って30万円相当の買い物をしようとしたところ、不審な点に気づいた店員に怪しまれ逃走した。だが、防犯監視カメラに残ったビデオ映像にハッキリと姿が映し出されていたため、逮捕されることになった。そして、K介と41歳の男性が届け出をしていたので、芋づる式にミサキと残る男2人も逮捕されたのである。

捜査が進むに従って、他にも数件の同様の事件を起こしていたことがわかり、再逮捕に次ぐ再逮捕で「恐喝」「傷害」「窃盗」等の罪状で起訴された。4人は遊び仲間でナカニシの発案で、「美人局」を計画、実行していたことがわかった。ナカニシが、知り合いのスカウトマンから「美人局のコツ」を聞いていたので、その通りにやってみたところ簡単に金を奪うことが出来たので、犯行が数回に及んでいたのだ。

  • テレクラで女が既婚者を狙って、「妻あり」を確認して、獲物としてキャッチする←弱味がある。「離婚されるぞ」と脅すため。

  • 30~40歳代で、一流会社に勤務している男性を選ぶ。自営業者は避ける←お金がそこそこあり、社会的地位を気にする立場の男性のほうが、脅しやすい。

  • シティホテルを指定する←後で男たちが乗り込むために、ラブホテルは避けた。

  • 性交渉を成立させる←油断させることと、既成事実を作って逃げられないようにするため。

  • 買い物に行くと言って、女がいったん外出する←外で既成事実を確認するなどの打ち合わせをしてから、部屋に戻ったときに一緒に入り込むため。

  • 免許証を奪う←身元を確実にして、警察に届け出されないようにするため。

  • キャッシュカードを出させて、暗証番号を聞き出す←「恐喝」になると考え、その場では現金を奪わないで、預金を引き出す。



    →→“美人局事件のなぜ” 

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