防犯/防犯小説

【連載第5回】女が戻りドアを開けると、そこには テレクラの甘い罠~深夜の訪問者(2ページ目)

女がコンビニに出かけて戻ってきたと思ってドアを開けると、そこには女以外の人物がいた。数人の男が闖入してきてK介はわけのわからない事態にパニックになる。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

嘘と事実

男のあくまでも押さえた口調がかえってK介に緊張を呼んだ

「だから、じゃないんだよ。事実があるんだろう? 事実が」


男のあくまでも押さえた口調がかえってK介に緊張を呼んだ。

「まさか、何もしませんでした、とは言いませんよね? タケダさん。ええ?」

(どう答えればいいんだ)
と無言でいると、ナカニシはミサキの腕をグイッと引っ張った。

「あんたはオレの女をもてあそんだんだろ? オレのかわいい彼女をさー」


ミサキは両手で顔を覆っていた。

「いや、しかし、彼女は彼氏はいないって言っていたし」

「っざけんなよっ! タケダさん、あんた耳が聞こえないのか? たった今、オレの彼女だって言っただろう?」

「や、いや、だけど、そんなことは僕は知らないですよ。一人だって言ったから、それで」

「それで、何なんだ? それでヤッたって言うのか?」



まずいことを言い出してしまったと後悔した。自分からヤッたと言ってしまったようなものだった。だが自分には非がないと思い直して、強気に行こうと思った。

「僕には何のことかわからない。テレクラの電話で知り合って会うことになっただけで、大人同士のことだし、キミの存在は僕は知らなかった。ミサキさん、キミだって一言も言わなかったじゃないか」

「ちょっと待てよ。彼女が何を言ったか言わないかは関係ねぇだろ? どこで知り合ったかも関係ねぇ。問題はあんたがこの女と寝たかどうかだよ。それにな、大人同士って言ったよな? ふざけるなよっ!」



突然、声を荒げたナカニシの様子にビクッとなってK介は思わずバスローブの前をきつく合わせた。(ふざけるなって、何を言ってるんだ? なんのことだ?)
頭の中が混乱して、理解能力が激しく劣っているようだった。

「ミサキはな、まだ未成年だぜ。こいつは18歳の子どもなんだ。あんたは三十過ぎて、未成年と無理矢理ヤッたんだろっ!」

「無理矢理ってそんな…」



彼女の方が積極的だったと言いたかったが、それを口にすることも事実を認めることになる。下手なことは言わない方がいいと思った。

「しかし、彼女は自分で、短大を出たって言ってたし」

「タケダさん、何を言い訳だか、作り話だかしてんじゃないよ」

「いや、だって、ミサキさんがそう言ってたから。ねぇ、ミサキさん、キミ、短大を出たって言ってたよね?」


→物言わぬ証拠 

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