携帯電話番号
「いいの?」(携帯の番号を教えてくれるなんて…。これはもう間違いなく本気だ。マジだな)
「ええ。だから、予約してもらってお部屋に入ってから、お部屋番号を教えて下さい。絶対に行きますから」
「信用していいのかな」(ホントかよ~)
「だって、今日、私、帰れないんですもの」
「じゃあ、今、かけたら、キミすぐに出る? ウソじゃないよね? この電話を切ったらお終いってことはないよね?」(だったらひどいよ。本当の番号を教えてくれるのかな)
「心配しないで下さいよぉ(笑) だって、そんなことしても私に何のメリットもないじゃないですか」
「いやー、サクラってこともありえるかなと思ってさ」(ここまで話を引っ張られたらな)
「あー、けっこう多いって言いますよね。でも、それだったら、もっと別の話をするでしょ? 私は、今日、本当に一人でいたくないし、あなたがちゃんとした会社のサラリーマンで、奥様もいらして、真面目な方だと思ったから。あの、もし、おいやだったら、私、他の人を探しますけど…」
「あ、いや、とんでもない。ゴメンゴメン。他の人にだなんて言わないでよ。いやー、なんか信じられなくてさ」(おっと、他の男に取られるなんてもったいない)
「そんな…。私、けっこう切実なんですよ(笑)」
「そうか、そうだよね。ごめんね。」(どうやら本気だな)
「ううん。大丈夫。じゃ、番号を言いますね」
「うん。ちょっと待ってペンを出すから…。よし、いいよ」(これでもう間違いないな)
「090の、××××ー△△△△」
「△△△△と…。じゃ、すぐに切ってかけてみていい?」(ウソじゃないよな)
「ええ。でも、その前にホテルの予約を取ってくれますか? 二度手間になってもいけないから」
「そうだね。じゃ、10分以内に必ずかけるからね」(よし、絶対に大丈夫だ!)
「はい、じゃお電話待っています」
「それじゃ」(待っててよ~)
「じゃ、後で」
そう言って電話を切ってから、ちょっとの間考えたが何も迷うことはないと思った。自分の携帯電話の番号を言うのも、聞かれなかったことも忘れていた。一種の賭けのようなものだったが、会話の内容からK介は疑うこともしなかった。女と会うことに舞い上がってしまい、実は、会話の内容はすべて女にリードされているということには気がつかないでいたのである。
K介は、急いでホテルの電話番号を携帯で検索して電話をかけると、運良く部屋が空いているというのですぐに予約を入れた。それから、彼女の携帯電話の番号をプッシュした。
次回【連載第4回】テレクラの甘い罠~インザルームに続く
【連載第1回】テレクラの甘い罠~夫の言い訳
【連載第2回】テレクラの甘い罠~女からの誘い
【連載第3回】テレクラの甘い罠~シティホテル
【連載第4回】テレクラの甘い罠~インザルーム
【連載第5回】テレクラの甘い罠~深夜の訪問者
【連載第6回】テレクラの甘い罠~夜明けの苦悩
【連載第7回】テレクラの甘い罠~妻の覚悟
【連載第8回】テレクラの甘い罠~ヤツらの最後
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