防犯/防犯関連情報

新宿で発生した騒ぎの原因はなんと! ある“異臭騒ぎ”の顛末

“異臭騒ぎ”といえば、多数の人に被害が出る事件としてよく報告されています。“催涙スプレー”などによるケースが多いのですが、今回は…

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

新宿のビルで異臭騒ぎ


1月29日(木)23時05分頃、新宿の7階建て雑居ビルで多数の人が気分が悪くなっているという119番通報があり、救急車10台のほか、化学機動車4台、消防車(ポンプ車)2台 指揮隊車両5台など計21台の救助機動隊が現場に駆けつけました(東京消防庁新宿消防署)。月末の飲み屋さんには多くの酔客がいて、酔ったところに刺激臭があったためか、気分が悪くなったり吐き気をもよおすなどして、約10名が救急車で東京女子医大等に搬送されました。

その後の調べで、このビル3階の飲食店が午後10時に営業を終えた後、ゴキブリ退治などに使う水を入れて使用するタイプの殺虫剤を使っていたことが判明しました。煙が出るわけではないので、火災報知器が発報したわけではなく、目に見えない刺激臭がドアのすき間から洩れて刺激臭が階段やエレベーターを伝って上の階に行ってしまったのです。

ビル2階は改装工事中また7階は医院だったため影響はなかったものの、ガス系の匂いやこうした水を使う殺虫剤などの蒸気は上にいくために、まだ営業中だった4階5階6階の飲食店にいた人たちが刺激を受けたということなのです。

異臭騒ぎといえば「催涙スプレー」やその他の薬品による場合が多いのですが、状況がすぐにはわからないため、最悪の事態に備えて、化学機動の救助隊が出動しました。昨今のイラク情勢などで都内は特別警戒態勢となっており、何が起きてもおかしくないのですから、多数の人が気分を悪くしているなどといった通報・情報には敏感になっている時期だということもあります。

原因(臭気の元、ガスなどの種類)を突きとめるために化学機動車が出動したのですから大変なことです。事態を引き起こした店では厳重に注意を受けたとのことです。今回のようなケースは、火事ではなかったわけですが、いわゆる「危険排除」ということになります。


テナントがしておくべきだったこと

自分の店が営業を終えても、同じビルの他の店ではまだ営業をしているのですから、その時間にそうした殺虫剤を使ったという点がまず常識に当てはまらないでしょう。そもそもビルの一室だけ殺虫剤を散布しても、ビル全体でやらなければ効果も半減です。古い雑居ビルですが、ビル全体の管理体制、緊急時の連絡体制に問題がありそうです。

こうした「刺激臭」を発生するような殺虫剤の使用時には、入り口ドア部分に「殺虫剤使用中。連絡先はこちら」といったように、状況を知らせておく心遣いがあるべきです。またすき間にはしっかりと目張りをして、外に漏れないようにすべきですし、できれば殺虫効果が一段落するまでは責任者が現場付近にいるべきだったでしょう。少なくとも同じビル内のテナント同士で、そうした連絡はきちんとしておくようにしたいものです。あるいは、地域の消防署に電話をかけて届け出をしておけばよかったのです。幸い、大事には至らなかったものの張り紙一つ、電話一本で避けられた事態だったといえるでしょう。

こうしたことはマンションなどの集合住宅などでも同様の段取りをしておく必要があります。余計な心配や発報、救助の出動などがないように気をつけたいものです。張り紙一枚、ひと声かけておくだけで騒ぎにならずに済むのですから手間を惜しまないことです。また日頃からの近所づきあいも大切だということです。

→救助の要請について/携帯電話による通報/あなたの一票2p

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