防犯/防犯小説

【連載第5回】名前を知られた少女の衝撃と絶望 出会い系サイト~少女の後悔(2ページ目)

[5/6]突然、自分の名前が記されたメールが少女に届く。思いもよらない衝撃に少女は激しく動揺する。しかし、後悔すでに遅し! 少女に救いは?

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

脅迫

「これね、昨日届いて、あなたには見せないでおこうと思ったけど、もし、万が一、事実だったら困ると思って、あなたに確かめたいの。読んでみて」
差し出された封筒はすでに封が切ってある。宛名は母親のY代の名前になっている。裏を見ると、男のハンドルネームが書かれていた。それを見て、恐怖の予感に動悸が激しくなるのを感じながら、震える指で便箋を取り出した。

N川Y代様
 前略
 私はお宅のK美さんとかつて親しく交際していたものです。私としては、再度、交際
をしたいと思っていますが、K美さんに断られています。
そこで、どうか母親のY代様から、私と再び会うようにお伝え下さい。
もし、 K美さんから連絡がない場合は、残念ながら、N川様ご家族にとって困る事態に
なるかもしれないと警告しておきます。
K美さんが過去に援助交際をしていた事実が、ご近所に知られることになります。
公表されたくなければ、それなりの誠意を見せるようにご検討ください。
                                    草々


少女を手に入れられなければ、「援助交際をばらす」と脅して、お金を奪おうって? 「恐喝は犯罪」だと知らないのでしょうか? いよいよまともではありません。こんな証拠になるような手紙を出す、ということだけでも、正常な思考回路ではないことがわかります。


便箋を持っている手が震えて、呼吸が荒くなった。

「おねえちゃん、どういうこと? これは」
「これって…」
言葉が続かない。
(あの男が、家にまで、母にまでこんな手紙を寄越してきた。これはどうすべきなのか? たった一度の行為が、なぜ、自分をこれほどまでに苦しめ、母親までも苦しめるのか。なぜ、こんな目に遭わされるの?)
少女にはわからなかった。

「これは、誰なの? いくつの人なの? ここに書かれてることは事実なの?」
「……一度だけ…」
「一度だけ、何なの?」
「援助交際…した、の」
「おねえちゃん!」

悲鳴のような母の声がリビングルームに響いた。

自分の娘の口からこんなことを聞く親って…悲しい。

追及

少女は手紙をテーブルの上に両手で置くと、そこに額を押し当てて、泣き出した。

「おかあさん、ごめんなさい! ご、ごめんなさい…」
「泣いていたらわからないでしょ! ちゃんと話しなさい」
「一度だけ、出会い系サイトで、男の人と会って、お金をもらったの」
「なんで! なんでそんなことしたの!」
「お金が欲しかったの」
「おこづかいはちゃんと毎月あげているでしょう? 何のお金よっ」
「電話代…ケータイの…」
「バッ…」


最終ページで「ストーカー/心理と対策プチ講座Vol.4」もあわせてご覧下さい♪

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