脅迫
「これね、昨日届いて、あなたには見せないでおこうと思ったけど、もし、万が一、事実だったら困ると思って、あなたに確かめたいの。読んでみて」差し出された封筒はすでに封が切ってある。宛名は母親のY代の名前になっている。裏を見ると、男のハンドルネームが書かれていた。それを見て、恐怖の予感に動悸が激しくなるのを感じながら、震える指で便箋を取り出した。
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少女を手に入れられなければ、「援助交際をばらす」と脅して、お金を奪おうって? 「恐喝は犯罪」だと知らないのでしょうか? いよいよまともではありません。こんな証拠になるような手紙を出す、ということだけでも、正常な思考回路ではないことがわかります。
便箋を持っている手が震えて、呼吸が荒くなった。
「おねえちゃん、どういうこと? これは」
「これって…」
言葉が続かない。
(あの男が、家にまで、母にまでこんな手紙を寄越してきた。これはどうすべきなのか? たった一度の行為が、なぜ、自分をこれほどまでに苦しめ、母親までも苦しめるのか。なぜ、こんな目に遭わされるの?)
少女にはわからなかった。
「これは、誰なの? いくつの人なの? ここに書かれてることは事実なの?」
「……一度だけ…」
「一度だけ、何なの?」
「援助交際…した、の」
「おねえちゃん!」
悲鳴のような母の声がリビングルームに響いた。
自分の娘の口からこんなことを聞く親って…悲しい。
追及
少女は手紙をテーブルの上に両手で置くと、そこに額を押し当てて、泣き出した。「おかあさん、ごめんなさい! ご、ごめんなさい…」
「泣いていたらわからないでしょ! ちゃんと話しなさい」
「一度だけ、出会い系サイトで、男の人と会って、お金をもらったの」
「なんで! なんでそんなことしたの!」
「お金が欲しかったの」
「おこづかいはちゃんと毎月あげているでしょう? 何のお金よっ」
「電話代…ケータイの…」
「バッ…」
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