同署は、A・Y容疑者の余罪を追及するとともに、別の人物が関与したとみられる同様の事件も起きていることから共犯がいないかどうか調べています。
調べによると、容疑者は今月3日、息子を装い東京都港区の女性(76)に「おふくろ、おれだ。やくざに脅されていて金が必要になった」と電話をかけて800万円を請求、現金をだまし取ろうとした疑いです。女性が息子に電話をかけ直してうそが発覚。川崎市内の指定場所に現金を受け取りに来たA・Y容疑者を同署員が詐欺未遂の現行犯で逮捕しました。
調べに対し、A・Y容疑者は「会社の運転資金が欲しかった」と供述しています。
「俺だよ、オレ」で、現金だまし取り!
お年寄りの息子や孫のふりをして、電話で現金を要求する事件が、多発しています。東京都内では昨年11月からこれまでに、計55件発生、被害総額は約7,300万円に上っています。「俺だよ、オレ」と、いきなりかかってきた電話に、てっきり息子や孫だと思いこんでしまい、言われるがままに現金を用意して奪われるというものです。
99年にも、タレントの布川敏和さん(37歳)(元・シブガキ隊)の祖母が現金100万円の被害に遭ったことを、ご記憶の方も多いでしょう。
当時、捕まった犯人は、電話帳で、お年寄りの女性名のところばかり、片っ端から電話をかけまくり、犯行を重ねていたというものです。
たとえば、「ウメ」「フデ」「とめ」「トヨ」などの見るからに、年輩の方と思われる名前があります。男性でも、「助五郎」「甚三郎」「与兵衛」など、名前から高齢であることがわかります。
最近の若い人とくに女性は、ほとんど電話帳には「非掲載」にしているはずです。そうでなくても、電話帳に載っている名で、あまり若い人には使われないような名前だと、「高齢者のひとり暮らし」であることが推測されてしまいます。
高齢者となりますと、多少、耳が遠くなっているかも知れません。その上、電話越しだと、余計にわかりづらく、思いこんでしまうのでしょう。
また、祖父母という年齢から、孫の一人や二人はいるでしょう。たとえそれが不肖の孫であっても。とくに男の孫は息子よりかわいいと思っている人も多いのではないでしょうか。。
最近の若い人たちのように、しょっちゅう電話をかけまくっているような電話好きの方は、絶無ではないでしょうが、倹約が身についた世代ですと、あまりいないものと思われます。
とすると、電話そのものにあまり慣れていない…。電話が鳴るのは、一日に、いや一週間や一ヶ月に数度の人もいることでしょう。
そういった人に、突然かかってくる電話…。
「俺だよ、オレ」
と、言われると、かわいい孫息子か、不肖の息子か、と思いこんでしまい、
「○○ちゃんかい?」
「△△か、どうした?」
などと、自分から相手の名前をうっかり言ってしまいます。