息子も孫もいなければ、
「ハァ? 何番におかけですか?」
と、聞き返せば、ガチャンと切れることでしょう。

また、もし本当に孫や息子で普通の電話なら、「おばあちゃん、元気?」だの、「体調はどう?」「このところ寒いけど大丈夫?」だの、挨拶の部分があるものでしょうが、そんな悠長なことはしないでしょう。全くの赤の他人であることがバレても困るのです。

電話を受けて、うっかり、自分から相手(孫や息子)の名前を呼んでしまい、
「そう。○○だけど、大変なことになった」
と、言われれば、心配性の人からすれば、何が起きたかわからないでも、不安にかられ、動悸が早くなるでしょう。そこでたたみかけるように、

「交通事故を起こしてしまった。すぐに金が必要だ。助けてくれ」
あるいは、
「ヤクザに捕まった。金を出さないと殺されてしまう!」
などと言われると、ビックリしてあわてふためいてしまうでしょう。

高齢者には、年金の他に定期収入がある人は少ないでしょうが、生活のためにそこそこの預貯金があるものです。つまり、いざというときのためのお金というものを持っているものでしょう。その貴重なお金を、孫や息子のためならと、すぐにも用意してあげようという心を利用するのです。

そして、絶対に当人(本当の孫や息子)は、お金を取りに来ません(本人ではないのですから不可能です)。
「代わりの者が取りに行くから渡してくれ」
と、なるわけです。

おそらく、電話をかけた張本人か、仲間がいれば仲間の誰かに取りに行かせるでしょう。大金を用意して緊張している被害者は、(大変なことになった)と気が動転しているでしょう。(お金を渡さなければ…)と、思いこんでいますから、素直にお金を差し出してしまうのです。

警視庁発表によると、今年の10月に、都内・杉並区の女性(80歳)が“孫”から、
「オレだけど、交通事故を起こした。850万円が必要だ。事故処理の人が行くから現金を渡して」

との電話があり、驚いて、指定の待ち合わせ場所のレストランに行って、現れた男に全額を渡してしまった、という事件がありました。もちろん、本当の孫からの電話ではありません。

また、
「弁護士の秘書が取りに行くから、渡して」
と言って、秘書のふりをした女性が現れて現金一千万円を奪われてしまった、というケースもありました。



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