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2件の傘殺人。理由はあまりにも些細な事でした。 傘殺人の些細な理由

カッとなって傘で相手を突き刺したところ、死亡。傘殺人事件はあまりにも痛ましいもの。傘が凶器にもなり得るという教訓です。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

凶器は傘!

平成14年5月16日に広島県内で発生した殺人事件の被害者(55歳)は、傘で顔を突き刺されて失血死したものでした。犯人の男(33歳)とは、犯行現場から約50メートル離れた場所で、車同士がすれ違っていました。

「道を譲ったのに下がるように言われ、逆上して追いかけ、もみ合っているうちに刺さってしまった」と男は供述しています。

口論の直後、車内にあった傘を持ち出し、約50メートル走って追いかけて襲った、ということですが、その時の形相を想像すると何とも身震いするような恐ろしさです。顔面ということですから、振りかざすように突き刺したのでしょう。部位がどのあたりかという点までは報道がないため不明ですが、顔面からの出血多量で失血死となってしまったのでしょう。

その後、男は29歳の妻と知人の車で逃走。5月20日深夜に静岡県内で逮捕されました。

もう一つの事件

6月7日愛知県内で発生した殺人事件は、中学時代からの顔見知り(32歳)同士で、口論となり、被害者の顔を5~6回殴って倒れたところ、近くの飲食店入り口の傘立てにあった傘で、左のこめかみを突き刺したものです。

それぞれ別の飲食店で酒を飲みながら携帯電話で話した後、犯人の男が被害者の男の元に行って、トラブルになったもので、被害者の男性は救急車で病院に運ばれましたが、間もなく死亡しました。倒れたところを傘でというのですから、傘を両手に持って、思い切り振り下ろしたのでしょうか。これもそのときの顔を想像すると恐ろしくなります。

「被害者男性から普段、呼び捨てにされて腹が立っていた」と供述していますが、積もり積もったものがあったのかもしれません。


いずれの事件も命を落とすにはその原因・理由はあまりにも些細なことです。しかし、傘の細い先端部分が顔面に突き刺されば死に至る、という事実を再確認できた痛ましい事件です。過去にも時折、傘殺人は報告されてきていますが、今回続いて発生したこの二つのケースのいずれもが些細な理由で、犯人らの逆上によるものだということが何とも言えず悲しい限りです。


傘はいざというときの護身具=武器にもなりますが、一歩間違えば殺人用具=凶器にもなります。取り扱いには注意しましょう。




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