覚せい剤乱用期
平成9年頃より「第三次覚せい剤乱用期」と呼ばれる現在、「覚せい剤」は若者を中心に乱用がはびこっており、大きな社会問題となっています。1945年~1956年の「第一次覚せい剤乱用期」には「ヒロポン」と呼ばれ、1970年以降の「第二次覚せい剤乱用期」には「シャブ」、そして現在は「スピード」「S(エス)」「アイス」「クリスタル」あるいは「やせ薬」といったように呼び名は変わっても、すべて「覚せい剤」です。「人間やめますか」というキャッチコピーをご記憶の方も多いでしょう。覚せい剤の乱用は確実に人格を破滅させます。自分の身体から虫が湧いてくるといって、刃物などで傷つけたりする自傷行為もまれではありませんし、「誰かが見張っている」「みんなが自分のことを話している」「壁のシミが人の顔に見えて自分に迫ってくるように感じられる」などさまざまな幻覚症状が起こります。
ある弁護士は、覚せい剤中毒の人物に接見したときに「先生、電波が聞こえるんだよ」と真面目に言われたととのことでした。「殺せという声が聞こえた」「誰かが殺しに来る」など、精神分裂病に類似した被害妄想で「覚せい剤精神病」と呼ばれる錯乱状態です。通り魔殺傷事件の多くがこのようなケースによって引き起こされていることは、皆さんもよくご存じのことと思います。
「覚せい剤はコワイけど、これは「S(エス)」だから大丈夫」などとまったくの勘違いをしている若者もいたりして、「薬物教育」の重要性をひしひしと感じます。人間は「ダメ」と言われるとやってみたくなるもの。しかし、この問題は「ちょっと試しに」あるいは「コワイもの見たさ」でやってみるようなものではありません。また「すぐやめられる」ものでもないのです。
最近は「合法ドラッグ」などといって、「違法ではない」つまり法律には違反しないのだからOKなのだということで気軽に手を出す人が多いようです。しかし、人は「より、もっと」さらなる刺激を求めるものでもあります。興味本位がいずれ依存症にならないとは誰にもいえないでしょう。
→マジックマッシュルームp.2
→→危険! 手を出すな!p.3